こうした逆風下でも、ヴァーレは比較的堅調な四半期業績を発表した。
経営陣は鉄鉱石市場を「大まかに均衡している」と見ているが、地政学的状況が2026年後半の海上運賃や燃料費に大きな不確実性をもたらしていることは認めている 。ピメンタCEOは、燃料費をヘッジしているため紛争の影響は限定的であるとしながらも、状況を注意深く監視していると述べている 。
ヴァーレが公表している2026年通期の主要なガイダンスは以下の通り。
| 指標 | ガイダンス / 予測 |
|---|---|
| 鉄鉱石生産量 | 3億3500万~3億4500万トン(第1四半期に再確認) |
| ペレット・団塊生産量 | 3000万~3400万トン |
| 銅生産量 | 35万~38万トン |
| ニッケル生産量 | 約16万~17.5万トン(2026年末までのキャッシュ収支均衡を目標) |
| 鉄鉱石C1現金コスト | 1トン当たり20~21.5ドル |
| 設備投資(CapEx) | 54億~57億ドル(長期的に年60億ドル未満が上限) |
| 鉄鉱石部門のフリーキャッシュフロー | スポット想定で約15億ドル(内、ベースメタル部門から約4億2500万ドルの貢献を含む) |
| プロフォーマEBITDA | 第1四半期の実績は39億ドル。同期のEBITDAマージンは約43.5%と推定される 。 |
2025年にCEOに就任したピメンタ氏は、「オペレーショナル・エクセレンス」「規律ある資本配分」「銅と鉄鉱石への成長投資」 という、明快な3本柱の戦略を打ち出している 。
ピメンタCEOが掲げる資本配分の優先順位は、(1)オーガニック成長への投資、(2)強固なバランスシートの維持、(3)株主還元(配当と自社株買い)の順である 。
結論として、ヴァーレはピメンタCEOの下、生産量の拡大を軸とした成長計画を着実に実行している。イラン紛争は現状、本質的な脅威というよりは、管理可能な「物流コストの逆風」にとどまっている。2026年の生産ガイダンスは維持され、鉄鉱石と銅の戦略は前進しているが、輸送混乱の長期化が最大の短期的リスクである。