欧州委員会が大型の法人車両を脱炭素化するために提案した規制が、激しい政治的な反発に直面している。加盟9カ国による正式な反対と、産業界からの激しい反発により、「クリーン企業車両規則」の行方は不透明になっている。
この提案は2025年12月に提出され、2030年までに大企業による新規の乗用車とバンの登録の69%をゼロエミッション車または低排出車(ZLEV)、うち少なくとも45%を完全なゼロエミッション車(ZEV、バッテリー式か水素燃料電池車)にするよう、各加盟国に義務付けるものだ [1, 7]。目標は一人当たりGDPに応じて国別に設定されており、中小企業は対象外である [1, 6]。
9カ国連合の反乱とその要求
ポーランド、ブルガリア、チェコ、エストニア、ハンガリー、イタリア、ラトビア、スロバキア、スロベニアの9カ国が、共同の非公式文書(ノンペーパー)で正式にこの規制に異議を唱えた。ポーランドが主導するこの連合は、提案されている目標が時期尚早であると主張。拘束力のある義務化を実行するには、加盟国間の「充電インフラの不均衡」や「価格差」が大きすぎると指摘している
。
連合は、規制を根本的に再構築し、購入義務を「優遇措置(インセンティブ)ベースの仕組み」、財政措置、そして専用のインフラ投資に置き換えるよう要求。現状の提案は、大規模な車両電動化への準備が整っていない経済圏に不釣り合いなコストを課し、「単一市場を歪める」リスクがあると警告している
。
東西で分かれるEV導入の準備状況
反対連合の顔ぶれを見ると、明確な地理的格差が浮かび上がる。反対派の中心は中東欧諸国であり、これらの地域ではEVの普及率、充電スポットの密度、個人消費支出のいずれも西欧・北欧に大きく後れを取っている。例えば、ポーランドとブルガリアのEV市場シェアはEU内で最低水準にある
。欧州委員会の提案はGDPに基づいて目標を調整しているものの、連合はこの方式が長年のインフラ不足や所得水準の低さといった構造的な不利を相殺できていないと主張する [1, 4]。
産業界も闘いに参戦:BMW、トヨタ、ビジネスヨーロッパ
政治的な反発は、産業界からの強力な声によって増幅されている。EUを代表する経済団体ビジネスヨーロッパ(BusinessEurope)は2026年5月29日に意見書を発表し、移行は「義務ではなく優遇措置によって」推進されるべきと要求し、バッテリーEVへの事実上の一本足打法ではなく、完全な「技術中立性」を求めた
。
自動車メーカーも同様に率直だ。BMWグループは政策文書を発表し、義務化は「的外れ」であり、消費者の需要や市場の現実に関係なく、2030年までに内燃機関車を事実上禁止することになると論じた
。2025年12月には、BMWとトヨタがリース会社、レンタカー会社、車両管理会社など67社と連名で、フォンデアライエン欧州委員長宛てに書簡を送付。法人向けEV購入の義務化目標を「破滅的なほどコスト高で、逆効果だ」と批判した [2, 14]。
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