4月にユーロ圏の総合インフレ率が2023年以来初めて3.0%に達したのは、イラン戦争が原油価格を4年ぶりの高水準に押し上げ、産業ボトルネックを引き起こしたことが主因だ 。両社はこれを、金融引き締めでは対処できない一時的な供給側のショックと位置付けている。
ECBは2008年の世界金融危機前、そして2011年のユーロ圏債務危機のさなかにも利上げを行い、いずれも物価上昇圧力が一時的なものであることが後に判明した。この「早すぎた引き締め」の失敗例が、今回の反対派の主張を裏付ける材料として引き合いに出されている 。
反対派は、この供給ショックが地政学的緊張の緩和とともに一過性のものに終わると見ており、ECBが過剰反応すべきではないと警告する。実際、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズも「イラン紛争の行方と最近の原油価格の持続性について、より明確な見通しが立つまで、ECBは利上げを控えるよう強く勧告する」と述べている 。
JPMorgan AMとピクテの見解は、「インフレ=即利上げ」という現在の市場の単純な連想ゲームに疑問符を投げかけるものだ。 投資家は、6月11日の利上げの有無だけでなく、その後のラガルドECB総裁の記者会見や声明文のトーンにこそ、真の政策意図が表れると見て注視する必要がある。
「1回限り」の保険利上げなのか、それとも本格的な引き締めサイクルへの入り口なのか。その答えは、ユーロ圏経済の体温と中東情勢の行方に委ねられている。
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