なぜ、命を救おうとする医療チームが攻撃されるのでしょうか。その根本には、**「エボラは西洋人が金儲けのために作り出したデッチ上げだ」**という陰謀論や誤情報が、公衆衛生のメッセージよりも速く広がっている現実があります 。
ある村では、エボラで亡くなった人の遺体を安全に埋葬しようとした医療従事者に対し、家族が「武装勢力を呼ぶ」と脅迫し、結果的に家族自身で埋葬を行い、多くの人々がウイルスにさらされる危険を冒したケースも報告されています 。
感染の封じ込めには、感染者と接触した人を迅速に特定する「コンタクト・トレーシング」が不可欠ですが、その実施率は目標の90%を大きく下回る約45%にとどまっていると推定されています。これは、地域社会による症例の隠蔽や監視チームへの抵抗が主な原因です。
さらに、M23反政府勢力と国軍の戦闘をはじめとする武力紛争が、医療チームの移動を制限し、安全な埋葬やサーベイランス活動を困難にしています 。イトゥリ州では、遺体を収容するにも軍と警察による護衛がなければ移動すら危険な状態です
。
絶望的な状況の中でも対策は進められています。地域のラジオ局を使って正確な健康情報を流し、デマを打ち消そうとする努力が続けられています。しかし、根深い陰謀論との戦いは、依然として厳しい「向かい風」の中にあります 。
「エボラは、誰かの世話をするときに感染する病気」とWHOが表現する通り 、その感染連鎖を断ち切るには、人と人との絆や信頼関係の回復が不可欠です。科学の進歩を待つと同時に、地域社会の心の壁を溶かしていくことこそが、今まさに突きつけられている最大の課題と言えるでしょう。
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