IRGCは、これらの米軍の攻撃、特にケシュム島への空爆とイランのタンカーへの攻撃疑惑への直接的な報復として、6月2日から3日にかけて多角的な反撃に出た。
最も象徴的なIRGCの主張は、航空宇宙部隊がミサイルとドローンを用いてバーレーンの米第5艦隊司令部、米軍空軍基地、およびヘリコプターを標的にしたというものだ。IRGC側は、これは米軍がケシュム島南部のIRGC通信塔を攻撃したことへの対抗措置だと説明している
。
CENTCOMはこの主張を真っ向から否定。米軍の発表によれば、バーレーンに向けて発射されたイランのミサイル3発は、米軍とバーレーンの防空部隊によって迎撃された。CENTCOMの公式声明は、IRGCが第5艦隊司令部への攻撃成功を主張していることを「虚偽(false)」と断じている
。
同時に、イランはクウェートに向けて複数の弾道ミサイルを発射した。この攻撃は、技術的にはさらに失敗が際立つ結果となった。CENTCOMによると、クウェートを狙ったイランのミサイル2発は「航程途中で落下または空中分解した」という。最終的に、この波で発射されたイランのミサイルはすべて目標への命中に失敗し、米軍人に死傷者は出なかった
。
別の海軍作戦として、IRGC海軍は巡航ミサイルを用いて米国関連の船舶「パナヤ(Panaya)」を標的にしたと主張した。IRGCは、これが米軍によるイランの石油タンカーへの空爆(機関室に損傷を与えたとされる)への報復であると発表している
。IRGCは「パナヤ」を「米・シオニスト」の船舶と特定し、ホルムズ海峡の安全をこれ以上乱せば厳しい対応を取ると警告した
。
この混乱に拍車をかけたのが、前日の6月1日にIRGCがイラクのウム・カスル港付近で、パナマ船籍のコンテナ船「MSCサリスカV」への巡航ミサイル攻撃の実行を主張した件である。しかし、初期の調査では、爆発はミサイルではなく船内の機械的な故障が原因であると示唆され、乗員も無事だったことから、IRGCの主張には強い疑念が持たれている
。
これらの軍事衝突は、2026年のイラン戦争を終結させるための、これまでで最も本格的な外交努力の最中に起きている。パキスタンとカタールが主要な仲介役を務め、ワシントンとテヘランの間で提案のやり取りを行ってきた。
5月下旬までに、交渉担当者たちは紛争を凍結し信頼醸成を図る「60日間の基本合意書(MOU)」の概要で合意に達した。ドナルド・トランプ米大統領(当時)の最終承認を待つばかりとされていたこの案には、以下の重要な条項が含まれていた。
こうした進展にもかかわらず、合意は最終決定に至っていなかった。5月29日には、トランプ大統領の署名だけが必要な草案が存在するという報道がある中で、テヘランは最終的な停戦延長が署名されたことを公式に否定した。6月2~3日の攻撃は、この成立間近だった停戦の精神を踏みにじる行為であり、外交プロセスの根深い脆弱性を浮き彫りにした。外交官たちが活発に協議を続ける中での交戦の応酬は、双方の強硬派がいかに合意成立を妨害しうるかを示している。
6月2~3日の出来事は、イランの主張と米国の戦況報告との間に、深く予見可能な溝があることを改めて示した。IRGCの説明は力と決意を示す「報復攻撃の成功」を強調するものだ。一方、米国の説明はイランの攻撃の完全な失敗を強調し、米軍と同盟国の防空能力の高さを誇示するものとなっている。戦時下の独立検証はほぼ不可能であり、全容は依然として不透明だが、行動と反応の危険な悪循環が渦巻いていることは疑いようがない。
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