もう一つの大きな動機は、銀行預金に眠る巨額の家計資産の有効活用だ。EU市民が保有する莫大なユーロ建ての預金は、わずかな利回りしか生んでいない。監督を含めた市場が一本化されれば、その資金は株式や債券、インフラ投資へと流れ、欧州企業に潤沢な資金を提供し、家計にもより良い長期リターンをもたらす 。今回のE6合意は、その実現に向けて最も政治的ハードルが高かった「加盟国による監督権限の委譲」という難題を克服したのだ
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最も重要な柱は、システム上重要な取引所、中央清算機関(CCP)など、国境を越えた関連性を持つ市場インフラの監督権限を、各国の監督当局(NCA)からESMAへ段階的に移行させることだ 。これは「欧州の市場監視役」を名実ともに一元化する動きとなる。
既に成立している「暗号資産市場規制(MiCA)」の下、ESMAによる暗号資産市場の統合監視が構築されつつある。今回のMISP案は、EU全域で活動するすべての暗号資産サービス提供者(CASP)に対するESMAの直接監督権限を付与することで、これをさらに一歩進めるものだ 。ESMAの2026年の作業計画でも、この分野の即時の能力拡充が確認されている
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各国でバラバラな規制が資産運用会社や投資家のコストを押し上げている問題に対処し、加盟国間での投資信託の販売・提供手続きを簡素化し、障壁を取り除くことでも一致した 。ESMAは以前からファンド流通の統合深化を提唱しており、2026年には統合ファンド報告や市場参加者の負担軽減を優先課題に掲げている
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なお、E6はESMAの権限拡大に伴うガバナンス(統治)の歯止めも重視している。財務相らは、新たな欧州の監督機関が「チェック機能のない巨大組織」とならぬよう、厳格な説明責任とコスト管理の必要性を強調した 。欧州中央銀行(ECB)も2026年4月の公式意見書で、ESMAへの権限移行は十分な準備期間を設け、慎重に順序立てて実施する必要があると指摘している
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MISP全体の正式な採択期限は設定されていないが、最大の政治的障害だったE6の意見の不一致が解消されたことで、最終的な法案合意は今後1年以内にまとまり、その後数年をかけて段階的に実施されると見られている 。
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