マルチターン攻撃成功率(ASR)は、テストしたクローズドモデル全体で**7.89%から88.30%**という広範囲に及びました。比較対象として、同じモデルへの単一ターン攻撃成功率は2.19%から64.91%でした。
注目すべきは、普段「安全」と評価されているモデルほど、マルチターンで足元をすくわれる「ギャップ」が顕著だった点です。主な結果は以下の通りです。
xAI – Grok 4.1 Fast(非推論モード)
最も脆弱で、マルチターンASRは 88.30% 。実に10回の攻撃のうち9回近くが成功する計算です。CiscoはxAIのモデルについて、安全性よりも性能を優先する開発思想が影響している可能性を指摘しています。
Google – Gemini 3 Pro
単一ターンでは18.10%と比較的低い成功率だったものが、マルチターンで 73.35% へと約4倍に急上昇。
OpenAI – GPT-5.4
単一ターン2.74%からマルチターンで 24.68% へ。これは約9倍の増加であり、普段の「優等生」的なイメージとのギャップが際立ちました。
Anthropic – Claude シリーズ(Opus, Sonnet, Haiku)
単一ターンでの拒否率は高く(ASR 2.19%~3.64%)、クローズドモデルの中で最強クラスの防御力を示しましたが、それでもマルチターンでは 11.16%~16.20% の攻撃が成功しました。
Amazon – Nova 2 Lite
今回のテストで最も低いマルチターンASR 7.89% を記録。しかしCiscoは、この数字ですら「意味のある残留リスク」と評し、決して安全とは言い切れないと結論付けています。
また、先行して実施されたオープンウェイトモデル(MistralやMetaのLlamaなど)の調査では、Mistral Large-2に対して92.78% というさらに高いマルチターンASRが記録されました。全8モデルで、攻撃成功率は単一ターンの2倍から10倍に跳ね上がっています。
Ciscoは、単なる「確率論的な突破」ではなく、人間の悪意ある対話を模倣した5つの系統的な攻撃戦略を特定し、その網をかけてテストしました。
これらの戦略ファミリーによって、モデル間の暴露格差は大きく変動しました。つまり、「どの攻撃手法にも強い万能モデルは存在しない」 ということです。
Ciscoは、この危機的な状況に対し、企業や開発者が今すぐ取るべき実践的な推奨事項をまとめています。