2026年の対話の最大の文脈は、5月14-15日に北京で開かれたトランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談だ。この会談は「戦略的ビッグバン」にはならなかった。
2025年の対話で、ヘグセス国防長官はトランプ政権のインド太平洋政策を初めて包括的に提示した 。その核心は明快だ。
2026年、ヘグセス長官はこの文脈をさらに発展させた演説を行うとみられる。北京での「脆弱な緊張緩和」をよそに、台湾海峡の現状変更を許さないという強いメッセージが予測される。これに対し、中国が国防相を派遣せず反論の場を自ら放棄したことで、対話の舞台は「米国による一方的な警告」の色彩を強める可能性が高い 。
今回の対話を特徴づけるもう一つの要素は、フランスのマクロン大統領の存在だ。2025年、欧州首脳として初めて同フォーラムで基調講演を行った 。
シャングリラ対話2026は、単なる安全保障の意見交換会としての性格を急速に失いつつある。中国の国防相欠席は対話そのものの形骸化を招きかねず、米国による一方的な戦略発信の場へと変質するリスクをはらんでいる。
2026年のシャングリラ対話が「安定への対話」となるか「新たな対立の火蓋」となるかは、結局のところ、北京とワシントンの間で直接対話を重ねる以外に道はないという事実を、改めて浮き彫りにしている。