この仕組みでは、加盟店側は既存の決済フローを変更する必要がなく、新たな決済ゲートウェイの追加も不要だ。購入者は数百種類の対応暗号資産ウォレットを使い、通常のクレジットカード決済のような感覚でUSDCを支払える
。2026年2月には、この統合は完全に稼働し、国境を越えたECにおけるステーブルコイン決済を一般化する大きな一歩と評された
。
ビジネス向け「ステーブルコイン口座」を世界100カ国以上で提供
2026年4月29日の開発者会議「Sessions 2026」で、Stripeは法人向け金融サービス「Stripe Treasury」を大幅に刷新。世界中の事業者が、自身のStripeアカウント上で米ドル連動のステーブルコイン残高を直接保有・管理・送金できるようになった。2026年5月26日時点の公式ドキュメントでは、この機能は「100カ国以上」でサポートされていると明記されている
。
さらに、Stripe Treasuryの残高は、近い将来「Privy」のノンカストディアル(非管理型)ウォルットと連携し、世界150カ国以上で国境を越えた即時の資金移動を可能にする計画だ。これは特に、法定通貨が不安定な新興国の事業者にとって、資産の価値をドルで保全し、グローバルな取引を円滑にする手段として期待されている。
VisaやStripeのような大手がブロックチェーンを基盤とする決済インフラを拡大する中、パブリックチェーンの「透明性」が逆に課題となっている。多くのブロックチェーンでは、取引金額や送金者・受取人のアドレス、残高などが誰の目にもさらされる状態だ。企業の取引機密や個人の金融プライバシー保護、取引の「フロントランニング(先回り取引)」防止といった観点から、暗号化技術による対策が急務となっている。
Fairblockは、この課題を「条件付き復号」という技術で解決しようとしている。
従来の「ゼロ知識証明(ZKP)」とは異なり、Fairblockは「IDベース暗号(IBE)」、「ウィットネス暗号(WE)」、将来的には「完全準同型暗号(FHE)」を組み合わせることで、取引の実行前に内容を暗号化し、指定された条件が満たされた場合にのみ復号・実行される仕組みを構築している。これにより、取引データを悪意のあるボットや競合他社から隠蔽しながら、ブロックチェーンの持つ自動執行の利点は維持できる。
2026年3月には、Nobleブロックチェーンと提携し、「機密ステーブルコイン送金」と「非公開残高」をNobleのEVMアプリケーションレイヤーに導入。これは、まさにVisaやStripeが拡大している商用決済フローにおけるプライバシー保護を念頭に置いたものだ。現在、テストネットで稼働するFairblockのV1(FairyRing)は、取引実行前の秘匿性を高める「閾値条件付きIDベース暗号(TIBE)」を採用している
。
決済のデジタル化が加速するほど、その裏側で流れる取引情報の保護は重要性を増す。ステーブルコインが真の意味で国際金融の「パイプ」となるためには、VisaやStripeが前進させる利便性と、Fairblockのようなプロジェクトが実現する高い秘匿性が、車の両輪として機能していくことになりそうだ。
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