旅客数は4%増の2億800万人だった 。この数字が注目に値するのは、ボーイングの納入遅延により、FY26の通期輸送能力目標を度々下方修正せざるを得なかったからだ。根強い需要と高い運賃水準が最終損益を押し上げたが、航空会社は予定通りの機材が期日通りに到着していれば、成長はさらに加速していたと明言している
。
ライアンエアの債務削減は、一貫して内部資金で返済を続けた道のりであった。
この間、返済資金は全て営業利益から捻出され、新たな借り入れは一切行われなかった。同社のネットキャッシュ(現金及び現金同等物から有利子負債を差し引いた額)は、FY25期末の13億ユーロから、FY26期末には20億ユーロへと急増した 。3月末時点の手元流動性はグロスで36億ユーロ。さらに、2030年3月まで延長された11億ユーロの未使用のリボルビング・クレジット・ファシリティ(RCF、借入限度枠)がバックアップの流動性を提供している
。
FY26期末時点で、ライアンエアは647機の航空機を運航しており、12月時点の643機、2025年半ばの618機から増加した 。所有するボーイング737型機の全620機はいかなる担保権も設定されておらず、無担保の状態にある。つまり、航空機を担保に入れたローンが一切ないことを意味し、多くの競合他社が重いファイナンスやリース料に依存している中で、異例の財務柔軟性を同社にもたらしている
。
この機材群には、座席数が4%多く燃料消費が大幅に少ない「ゲームチェンジャー」ことB737-8200型機が全210機含まれており、すでに全機が納入・統合済みである。これにより、ライアンエアはユニットコストの優位性を維持している 。
無借金経営だからといって、現金を蓄える努力が終わるわけではない。経営陣が掲げる短期的な優先事項の一つは、自己資金で株主還元と航空機の設備投資を行いながら、手元流動性を40億ユーロまで再び積み上げることだ 。
成長計画は引き続き積極的である:
ニール・ソラハンCFO(最高財務責任者)は、こうした成長曲線にも関わらず、いやむしろそれゆえに、将来的には機動的に社債市場に再参入する計画であることを示唆した 。300機という大規模な航空機導入の資金を全額自己資金で賄うことは、いかに強固なバランスシートであっても負担が大きい。しかしながら短期的には、外部からの借り入れに再び頼る前に、設備投資と株主還元の資金を内部リソースから調達することを目指している
。
投資家にとって、この構図は強固な財務基盤と野心的なハードウェア拡大が出会う場面である。バランスシートは投資適格級、保有機材は無担保、そして借入金の残高は、当面はゼロだ。次の試金石は、旅客数で世界最大の航空会社となることを目指す道のりの中で、同社がその規律を維持できるかどうかである。