その結果、宇宙が現在の年齢の約3分の1だった時代、「宇宙の正午(コズミック・ヌーン)」(赤方偏移 z = 1.5~3.9)に位置する77個もの新たな強赤化クエーサーを特定することに成功したのです。これにより、これまで知られていた同種の天体の数は一気に2倍以上に膨れ上がりました。
「吹き飛ばし(ブローアウト)」フェーズ:ブラックホールの成長痛
では、これらの強赤化クエーサーは一体何者なのでしょうか? 現在最も有力な仮説は、これらが超大質量ブラックホールの成長における、短くも劇的な「吹き飛ばし(ブローアウト)」段階を捉えた姿であるというものです。
このシナリオは、次のような銀河進化のドラマを描きます。
銀河進化における「失われた環」
この「吹き飛ばし」段階は、ブラックホールの成長と、それが銀河全体に及ぼす影響を直接結びつける物理現象です。銀河の中心で生まれた「風」が、星の材料となるガスを銀河の外へ押し流してしまうことで、星形成活動そのものを終息(クエンチング)させてしまう可能性まで指摘されています。SPHERExがもたらした77個の新たなサンプルは、このフィードバックの詳細なメカニズムや、隠されたクエーサーと露出したクエーサー集団との統計的な関係を探るための、極めて強力な手がかりとなります
。
まさにSPHERExは、宇宙の広大な干し草の山から、銀河が最もダイナミックに変貌を遂げる瞬間という「針」を何本も見つけ出すことに成功したのです。
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