特に注目されたのはジョージア州アトランタでの出来事だ。
報道によると、乗客を乗せていないWaymoのロボタクシーが豪雨の中で冠水した交差点に進入し、そのまま約1時間動けなくなった。その後、車両は回収された。
この出来事をきっかけに、Waymoは同都市でのサービスを停止。テキサス州の都市でも同様に、豪雨や冠水の影響を考慮して運行が止められた。
急速に水がたまる都市部の道路では、カメラやセンサーだけで危険な冠水を完全に判断するのが難しいケースがあると指摘されている。
今回の問題が注目された理由の一つは、Waymoがその直前に大規模なリコールを発表していたことだ。
同社は2026年5月、米国で運用されている3,791台のロボタクシーを自主的にリコールした。原因は、ソフトウェアの不具合により車両が冠水道路に進入する可能性があると判明したためだった。
リコールのきっかけは2026年4月20日、テキサス州サンアントニオで発生した事例。豪雨の中、無人のWaymo車両が通行不能な冠水レーンに入り込んだ。負傷者はいなかったが、システムの認識能力に課題があることが明らかになった。
対策としてWaymoは、OTA(無線)アップデートでソフトウェアを更新。特に、フラッシュフラッド(短時間の急激な洪水)が起きやすい高速道路などの冠水レーンへの進入を抑制する機能を追加した。
しかし、その後も都市部の冠水道路で問題が起きたことで、アップデートだけでは対応しきれない状況が浮き彫りになった。
今回の運行停止の背景には、想定していたシナリオと実際の都市環境の違いがある。
リコール対応のソフトウェアは主に、
を想定していた。
一方、都市部では
といった状況が起きやすく、システムが完全に学習できていないケースが残っていた可能性がある。
そのためWaymoは、挙動を分析し安全対策を見直すまで一時的にサービスを停止する判断を取った。
Waymoは現在、車両単体のセンサーだけでなく、運行管理システムによる監視も安全対策として利用している。
具体的には、
などの外部データを組み合わせ、危険な天候時にはロボタクシーの運行を制限または停止する仕組みを採用している。
これは現在の自動運転サービスが、完全に車両任せではなくフリート管理と人間の監視を含む運用モデルで成り立っていることを示している。
洪水トラブルに加え、Waymoは米国の規制当局からも安全面での調査を受けている。
2025年10月、米運輸省の**NHTSA(国家道路交通安全局)**は、Waymo車両が停止中のスクールバスを適切に停止せず通過した疑いについて調査を開始した。
テキサス州オースティンの学区は、2025–26年度だけで19件の違反事例が記録されたと報告している。
さらに**NTSB(国家運輸安全委員会)**も、テキサス州で発生した同様の事例について独自の調査を進めている。
もう一つの重要な事故は2026年1月23日に発生した。
カリフォルニア州サンタモニカの学校ゾーンで、Waymoの自動運転車が9歳の児童に接触。児童は軽傷だったが、事故はNHTSAとNTSBの両方によって調査されている。
当局によると、児童は駐車中のSUVの陰から道路へ飛び出したとされる。
今回の一連の出来事は、ソフトウェア更新で自動運転を改善できないことを意味するわけではない。WaymoはOTAアップデートで車両の挙動を頻繁に改良している。
ただし、次のような現実世界の複雑さが、自動運転の開発を難しくしているのも事実だ。
ロボタクシー事業にとって重要なのは、こうした「例外的な状況(エッジケース)」を迅速に見つけ、安全にソフトウェアを改良し数千台の車両へ展開できるかという点になっている。
今回の洪水トラブルは、その課題を改めて浮き彫りにしたと言えそうだ。