もう一つの大きな政策転換がサプライチェーンの多様化だ。
EUでは、重要産業が特定の国に過度に依存しないよう、企業に対して調達先の分散を促す、あるいは義務化するルールが議論されている。特に中国への依存度が高い産業が対象とされる可能性がある。
対象分野としては、化学産業や産業機械などの重要製造分野が挙げられている。目的は、地政学的緊張や供給停止のリスクに対する**経済安全保障とレジリエンス(供給の回復力)**を強化することだ。
技術分野でもEUと中国の摩擦は拡大している。
さらに、EUのサイバーセキュリティ法制の改定により、「高リスク供給者」の機器を重要インフラから段階的に排除できる仕組みが導入される可能性も議論されている。
中国政府は欧米の「過剰生産」批判を強く否定している。
EU内部の政治もこの問題を複雑にしている。
特にドイツは中国との貿易関係が深く、これまでEUの対中強硬策に慎重な立場を取ることが多かった。自動車産業など多くの企業が中国市場に依存しているためだ。
EUの意思決定では加盟国の支持が不可欠であり、EU最大の経済国であるドイツの姿勢が政策成立を左右する。そのため現在、EUがより強い通商防衛を導入するかどうかを巡り、ベルリンには大きな政治的圧力がかかっている。
これらの動きは、EUの対中政策が大きく変化していることを示している。
かつて欧州では、中国からの安価な輸入と経済統合の利益が強調されていた。しかし現在は、国家支援による輸出や技術依存が欧州の産業基盤や安全保障に影響を与える可能性が議論の中心になっている。
その結果、EUの対中政策は
へと徐々に移行しつつある。
この戦略が関係の安定化につながるのか、それともEUと中国の間でより深刻な貿易対立を招くのかは、今後の政策決定次第と言える。
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