ビロル氏はさらに、商業在庫が急速に減少しており、場合によっては「数週間分」しか残っていないと警告している。
急激な供給不足を防ぐため、各国政府は戦略石油備蓄(Strategic Petroleum Reserve)の大規模な放出を行っている。
現在、IEA加盟国は日量約250万〜300万バレルの石油を備蓄から市場へ供給している。
ただしIEAは、これらの備蓄は**「無限ではない」**とも強調している。商業在庫の取り崩しも同時に進んでいるため、世界の石油在庫は急速に減少している。
中東の輸出混乱により、市場からはすでに大きな供給量が消えている。
主な指標は次の通り。
これらは、近年で最大級のエネルギー供給ショックの一つと見られている。
在庫減少と供給制約の影響で、多くの金融機関やアナリストは原油価格の上昇シナリオを想定している。
複数の予測では、ホルムズ海峡の混乱が続けばブレント原油は1バレル100ドル前後、またはそれ以上で推移する可能性があるとされる。
輸出の制限が長引けば、この水準が長期間続く可能性もあり、市場には大きな「地政学的リスクプレミアム」が織り込まれている。
仮にホルムズ海峡の航行がすぐ再開したとしても、石油市場はすぐに正常化しない可能性がある。
エネルギー企業の幹部によれば、回復には複数の時間差がある。
アブダビ国営石油会社ADNOCのトップは、たとえ紛争が今すぐ終わってもホルムズ海峡の石油輸送が完全に回復するのは2027年第1四半期または第2四半期になる可能性があると警告している。
またサウジアラムコの経営陣も、在庫が大きく減少しているため、混乱が長引くほど市場の均衡回復はさらに遅れると指摘している。
ホルムズ海峡は、ペルシャ湾からの石油輸出の多くが通過する世界有数のエネルギー輸送の要衝だ。わずか数十キロの狭い海峡だが、ここが混乱すると世界のエネルギー市場全体に衝撃が広がる。
現在は在庫の急減、戦略備蓄の放出、そして数百万バレル規模の供給損失が同時に進行しており、今年の夏は世界の石油市場の安定性を占う重要な試練になる可能性がある。