肥料は農業の変動費の中でも特に大きな割合を占めます。そのため価格が急騰すると、農家は次のような対応を取る傾向があります。
小麦、トウモロコシ、米など主要穀物の収量は、窒素肥料やリン肥料の使用量に強く依存しています。
もし世界中の農家が同時に施肥量を減らせば、主要穀物の生産量は徐々に低下し、世界の在庫が引き締まります。その結果、国際市場での食料価格が上昇する可能性があります。
農業は季節サイクルで動くため、肥料購入から収穫までには数か月のタイムラグがあります。このため、インフレの影響は遅れて現れることが多いのです。
特に影響を受けやすいのは、肥料も食料も輸入に頼る国です。
これらの国では、次のような二重のショックが起きます。
農業市場はもともと気候の影響を強く受けます。
もし肥料不足と同時にエルニーニョによる干ばつや猛暑などが発生すれば、収穫量への影響はさらに拡大する可能性があります。
この場合、肥料不足による生産減と天候による減産が重なり、世界の穀物在庫が急速に減り、食料価格の上昇が加速する恐れがあります。
農業では、供給ショックから価格上昇までに時間差があります。典型的な流れは次の通りです。
このプロセスには数か月から1年近くかかることもあり、現在の肥料ショックが将来の食料インフレとして現れる可能性があると考えられています。
ホルムズ海峡周辺の混乱による肥料価格の急騰は、すぐに食料価格を押し上げるわけではありません。しかし、農家のコスト増と施肥量削減が広がれば、次の農業サイクルで収穫量が落ち込み、世界の食料供給を圧迫する可能性があります。
Comments
0 comments