また、ホルムズ海峡など中東の輸送ルートを巡る緊張が高まる中、ロシアは「陸上パイプラインによる安定供給」の重要性を中国に訴えました。しかし、こうした地政学的な主張は中国の商業的な判断を覆すには至りませんでした。
交渉を止めている最大の要因は価格です。
パイプライン型のガス契約には、もう一つ大きな特徴があります。
それは数十年単位の購入契約が必要になることです。
北京の立場から見ると、大量のパイプラインガスを長期間購入する契約は、将来の需要や価格が変化した場合にリスクになる可能性があります。パイプラインは一度建設されると、買い手は長期間その供給に縛られるためです。
中国が強気で交渉できる理由の一つは、エネルギー供給の多角化です。
こうした状況では、中国にとって新たな巨大化石燃料プロジェクトに急いで参加する理由はあまりありません。価格条件が非常に有利でない限り、慎重になるのは自然な流れです。
パイプライン合意がないからといって、中ロ関係が弱まっているわけではありません。
「シベリアの力2」の停滞は、現在の中ロ関係の力関係の非対称性を象徴しています。
ロシアは欧州市場を失い、新しい輸出市場とインフラを強く必要としています。一方の中国は、供給源の選択肢が多く、エネルギー政策も急速に変化しています。
その結果、中国は時間をかけて交渉し、条件が有利な場合だけロシアのエネルギーを購入するという、より取引的なアプローチを取ることができます。
つまり北京サミットが示したのは、政治的には接近しているものの、数百億ドル規模のパイプラインと数十年のガス契約となれば、中国は地政学よりも経済合理性を優先するという現実でした。
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