これは、20世紀後半の約2mm/年というペースから、現代の衛星観測時代には約4mm/年へと移行していることを意味する。
主な背景には、海洋の温暖化と氷河・氷床の融解の加速がある。
海面上昇を研究する科学者は長年、ある問題に直面していた。
観測された海面上昇量と、理論上の要因(海水の膨張や氷の融解など)を合計した値が完全には一致しないという現象だ。これがいわゆる**「海面収支ギャップ」**である。
今回の研究では、次のような改良によってこのズレがほぼ解消された。
その結果、海面上昇の観測値は、海洋の温暖化・氷河融解・氷床損失・陸上水貯留の変化を合計した値とほぼ一致するようになった。
つまり、現在の海面上昇は観測誤差ではなく、物理的プロセスで説明できる現象であることがより明確になった。
研究は、1960年以降の海面上昇の原因を以下のように分解している。
最も大きい要因は、海水の熱膨張だ。海水は温まると体積が増えるため、海面が上がる。
これらを合計すると、現在観測されている海面上昇のほぼ全体を説明できる。
海面上昇の“構成”も時間とともに変化している。
過去には、主に海洋の温暖化による熱膨張が主因だった。しかし近年は、氷河や氷床の融解の寄与が増加している。
氷床の融解は長期的な気候変化に敏感で、温暖化が続けば今後も海面上昇を押し上げる要因になる。
海面上昇の影響は、海岸が完全に水没するずっと前から現れる。
海面の基準水位が少し上がるだけでも、次のような問題が増える。
これらは港湾、排水設備、都市インフラ、住宅、保険市場など、沿岸都市のコストとリスクを押し上げる要因になる。
今回の研究の大きなポイントは、海面上昇の原因がほぼ完全に説明できたことで、将来予測モデルの信頼性が高まった点だ。
これは、次のような政策判断に直接関わる。
そしてもう一つ重要な結論は、海面上昇は直線的ではなく加速的に進む可能性が高いということだ。
海洋は熱を長期間保持し、巨大な氷床はゆっくり反応する。そのため、温室効果ガスの増加が止まったとしても、海面は今後も数世紀にわたって上昇を続ける可能性があると研究者は指摘している。
この研究は、世界の沿岸地域が直面する長期的リスクを、より確かな科学的基盤の上で理解するための重要な一歩となっている。