従来のAPIビジネスでは
などが必要だった。
しかしx402では、次のような流れになる。
つまり1リクエストごとのマイクロペイメントが可能になる。
AIエージェント向けにはさらに、CoinbaseはAgentic Walletインフラも提供している。これには以下が含まれる。
この仕組みにより、AIエージェントはAPIキーや複雑な認証なしでサービスを見つけて支払いまで実行できるとされる。
Coinbaseの設計では、2つの要素が特に重要だ。
まずはUSDC。米ドルに連動するステーブルコインで、暗号資産の決済で広く使われている。
AI同士の取引では
といった理由から、ステーブルコインが適しているとされる。
もう1つがBaseだ。これはCoinbaseが開発したレイヤー2ブロックチェーンで、低コスト取引を特徴とする。
この構造をまとめると次の通り。
なおCoinbaseはUSDCエコシステムでも大きな役割を持ち、流通するUSDCの25%以上を同社製品内で保有していると報告されている。
x402の普及度を測る指標としてよく引用されるのがトランザクション数だが、報告によって数字はばらつきがある。
例として:
ただし、これらは多くが暗号資産メディアの報道であり、監査された財務データではない。
したがって確実に言えるのは、
数千万〜1億件以上の機械決済が試験的に行われている可能性がある
という程度だ。
Coinbaseはさらに、Agentic.marketというマーケットプレイスも公開している。
これはAIエージェントが使うサービスを探すためのアプリストアのような仕組みだ。
AIエージェントはここで
という流れでAPIを購入できる。
サービスは以下のようなカテゴリに整理されている。
具体例としては
などが挙げられる。
開発者向けドキュメントでは、数セント程度で複数のデータソースを購入するワークフローの例も示されており、低価格かつ高頻度の取引を想定していることが分かる。
このモデルの重要な前提は、AIは銀行口座を持てないという点だ。
銀行口座には通常
が必要になる。
しかしAIエージェントにはパスポートや法人格がないため、従来の金融システムでは口座を開設できないと指摘されている。
一方で暗号ウォレットは
ため、AIの取引基盤として使いやすい。
さらにAIは数百万件のマイクロトランザクションを行う可能性があるため、カード決済や請求書ベースの決済は適さない。
Coinbaseだけがこの市場を狙っているわけではない。
2026年5月、ステーブルコイン発行企業Circleは「Circle Agent Stack」を発表。AIエージェントが資産保有・サービス探索・支払いを行えるインフラを公開した。
また、Google CloudとSolana Foundationは「Pay.sh」というゲートウェイを発表。
これはAIエージェントが
できる仕組みで、x402に似たモデルだ。
この動きから見えてくるのは、エージェント経済の競争が
を巻き込む形で進んでいるという点だ。
この市場の成長には、規制も大きく関わる。
2025年7月、米国ではステーブルコインの連邦法であるGENIUS法が成立した。
この法律は
などの要件を定めている。
その後、米通貨監督庁(OCC)は2026年に実施ルールの策定プロセスを開始した。
CoinbaseやCircleのような企業にとっては
というメリットがある一方で、
といった影響もあり得る。
アームストロングの「AIの商取引が人間を超える」という予測は、現時点では大胆な仮説に近い。
その根拠は主に次の3つだ。
ただし現在公開されているx402の取引データを見る限り、規模はまだ世界経済と比較するとごく小さい。
つまり今起きているのは、AI経済そのものではなく
「AI経済のインフラ争い」
だと言える。
もしエージェント経済が本当に拡大するなら、最終的に勝つのは
を握る企業になる可能性が高い。