LNGは基本的に最も高い価格を提示する市場に向かうため、アジアの価格が上がると欧州向けのカーゴが東へ流れます。
その結果、欧州はLNGを確保するために価格を引き上げざるを得なくなります。
欧州ガス価格の指標であるオランダのTTF(Title Transfer Facility)は、供給引き締まりを背景に50ユーロ/MWhを超える水準に上昇しています。
価格上昇は単なる市場反応ではなく、欧州が世界市場に向けて「LNGを必要としている」というシグナルでもあります。
欧州の脆弱性を強めているのが、低いガス在庫です。
在庫が少ない状態で夏の補充シーズンに入ったため、欧州はこの夏に大量のLNG輸入を継続する必要があります。
供給が少しでも乱れると、価格や備蓄計画に大きな影響が出やすい状況です。
夏は需要面でも競争が強まる季節です。
暑い気候では、エアコン需要を支える発電用ガス消費が増えます。同時に、冬に備えて地下貯蔵へガスを注入する作業も進みます。
つまり、消費と備蓄が同時に増えるため、欧州は夏の間に多くのLNGを確保する必要があります。
ここでアジアの需要が重なると、世界のLNG需給はさらに引き締まります。
主要機関の予測を見ると、欧州ガス市場の将来像はかなり幅があります。
INGはより楽観的で、米国やカタールからのLNG輸出能力拡大により供給が増え、欧州ガス価格は平均約30ユーロ/MWh程度まで低下する可能性があると見ています。ただし、短期的な価格変動は続くと警告しています 。
現時点で欧州が直ちにガス不足に陥る可能性は高くありません。
しかし問題は、市場の余裕が非常に小さいことです。
欧州は今やロシアのパイプラインではなく、世界のLNG市場に強く依存しています。つまり供給や価格は、
といった外部要因に左右されます。
在庫が低く、カーゴ争奪も激しくなる中で、熱波や輸送障害、アジア需要の急増といった比較的小さなショックでも価格急騰が起きやすい状態です。
そのため、今回の「LNG輸入の2カ月連続減少」は単なる短期データではなく、冬に向けて欧州のエネルギー安全保障が依然として脆弱であることを示す重要なシグナルと見られています。
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