具体例として、最近の平均電力価格の比較では次のような差があります。
・英国:約111ドル/MWh
・ドイツ:約89ドル/MWh
・米国:約28ドル/MWh
問題は電気料金だけではありません。欧州では電力網への接続そのものが遅いという課題があります。
つまり、施設自体は数年で建設できても、電力インフラの整備が追いつかないというミスマッチが生まれています。
エネルギー市場の不安定さも、AIインフラ計画を難しくしています。
この結果、安定して安価な電力を確保できる地域がAIインフラの戦略拠点になるという構図が強まっています。
これまで欧州のデータセンターは、いわゆる「FLAP‑D」と呼ばれる主要都市に集中していました。
・フランクフルト
・ロンドン
・アムステルダム
・パリ
・ダブリン
これらの都市は通信インフラや金融市場、クラウド需要が集まる場所でした。しかし現在は複数の制約が同時に表面化しています。
・電力網の容量不足
・土地不足
・厳しい都市計画規制
・上昇する電力価格
その結果、データセンター開発企業は従来のハブから離れ、欧州の周辺地域に投資先を広げています。
主な候補地として挙げられているのは次の地域です。
・スペイン
・ポルトガル
・イタリア
・北欧(スウェーデン、ノルウェー、フィンランドなど)
これらの地域は次の点で有利とされています。
・再生可能エネルギーが豊富
・電力価格が比較的低い
・大規模キャンパスを建設できる土地
・電力網接続の余力
AIの競争力は、単にソフトウェアや半導体の問題ではなくなりつつあります。
今後は、ギガワット単位の電力をどれだけ速く、安く供給できるかがAIインフラ競争の鍵になる可能性があります。
現実的には、欧州では次のような構図が生まれつつあります。
・主要都市:低遅延のクラウドサービス
・周辺地域:巨大AIトレーニング施設
つまりAIの地理は、**人材や都市ではなく「電力のある場所」**によって決まる時代に入り始めているのです。
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