首脳会談の前後で、米国では中国の核戦力近代化に対する懸念も強く表明された。
米議会の公聴会では、中国が近年「前例のない規模」で核戦力を拡大していると警告され、数百基規模の新しいミサイルサイロ建設などが指摘された 。こうした動きは、将来の核抑止バランスに影響を与える可能性があるとしてワシントンで議論を呼んでいる。
ただし、今回の首脳会談で核軍縮の具体的進展があるとの期待はもともと低かった。中国は、自国の核兵器数が米国やロシアよりはるかに少ないとして、両国が参加してきた核軍縮枠組みに加わることに消極的な立場をとってきたためである 。
外交だけでなく、米国内の法執行も米中関係の背景として注目された。
2026年5月13日、ニューヨーク・ブルックリンの連邦裁判所で、ブロンクス在住のルー・ジエンワン(Lu Jianwang、通称ハリー・ルー)が中国政府の違法代理人として活動した罪などで陪審により有罪とされた。検察によれば、彼はマンハッタンに中国公安部と関係する未申告の「海外警察拠点」を設置・運営するのを手助けしていたという 。
米当局は、この拠点が海外在住の中国系民主活動家などを監視・威圧するネットワークの一部として機能していた可能性があると主張している。裁判では、中国当局からの指示とされる通信や、民主化活動家の所在を探す行為などが証拠として示された 。
2026年5月の米中関係を語る上で欠かせないのが、人工知能を中心とした技術競争である。
米中競争は軍事や経済だけでなく、情報空間にも広がっている。
政策研究や政府報告では、中国が台湾を巡る世論形成に影響を与えるため、宣伝活動や情報操作、サイバー手段を組み合わせた活動を強化していると指摘されている 。こうした戦略はしばしば「認知戦(cognitive warfare)」と呼ばれる。
目的は、台湾の政治制度や米国とのパートナーシップに対する信頼を弱めることだと分析されている。ワシントンや同盟国にとっては、こうした情報操作が地政学的競争の新しい戦場になっているという認識が広がっている。
2026年5月前半の出来事を総合すると、米中関係の特徴は「管理された競争(managed rivalry)」にあると言える。
首脳会談などの外交対話は続いているが、その背後では軍事力、核抑止、先端技術、国内安全保障、情報戦といった多くの分野で競争が激化している。
今回の一連の動きは、米中関係が短期的な和解に向かっているというよりも、長期的な戦略競争の時代に入っているという現実を改めて示したと言えるだろう。
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