結論:「Korea」だけに頼らない
IFTAを参照する映画・テレビ番組の権利契約で、対象地域を韓国だけにしたいなら、最も安全なのは 「Territory: Republic of Korea (South Korea)」 と書くことです[5]。
英文契約で単に 「Korea」 とだけ書くと、後から「北朝鮮も含むのか」「韓国語での利用権も含むのか」「リメイク権やアジア地域全体の権利まで含むのか」といった読み方を持ち込まれる余地が残ります。そうした広い意味を与えたいのでなければ、契約書で明示すべきです。
この点が重要なのは、IFTA関連資料が、映画・テレビの国際ライセンスにおけるモデル契約、業界標準、主要な定義として使われているためです[12]。その枠組みでは、「地域」は権利許諾の一要素にすぎません。
「Territory」と「Rights」は別のもの
IFTA International Standard Termsでは、ライセンス許諾は複数の項目に分けて整理されています。具体的には、Licensed Rights、Picture、Territory、Term、Authorized Languages、そしてExceptions、Uses、Holdbacks、Reservations of Rightsなどです[7]。
つまり、Territory条項が答えるのは、原則として 「どこで利用できるか」 です。これだけでは、次のような点は決まりません。
- どのメディア、プラットフォームで利用できるのか。
- どの言語版が認められているのか。
- 独占権なのか、非独占権なのか。
- リメイク、続編、フォーマット、その他の派生権が含まれるのか。
- ホールドバックや例外があるのか。
- 指定地域の外での利用が認められるのか[
7]。
IFTA関連の定義でも、言語は独立した概念として扱われています。たとえば「Local Language(s)」は、Territoryに含まれる各国で主に話される言語を指すものとして説明されています[10]。したがって、実務上は territory(地域)と言語権を、曖昧な一語にまとめない ことが大切です。
韓国のみを対象にする条項例
韓国だけを対象にするなら、条項は次のように整理できます。
Territory: Republic of Korea (South Korea), as defined in the IFTA International Schedule of Territory Definitions applicable to this Agreement, excluding all other territories unless expressly stated.
IFTAのスケジュールを契約に組み込む場合は、どのスケジュールが適用されるのかも明記します。IFTA関連資料では、Territoriesは契約のEffective Date時点で有効なIFTA International Schedule of Territoriesにより定義される、とする考え方が示されています[9]。特定の版を使いたいなら、その版を契約書で直接指定しておくべきです。
「Korea」から勝手に読み込むべきでないこと
商談上の意図が当事者間で明らかに見えても、契約書では略称に頼らない方が安全です。韓国のみのTerritory grantは、通常、次のものを自動的に含むと読ませるべきではありません。
- 北朝鮮:含めるなら、契約で明示する必要があります。
- 韓国外での韓国語利用権:言語と地域は別の契約項目です[
7][
10]。
- リメイク、続編、フォーマット、その他の派生権:Licensed Rightsとして許諾されていなければ含まれません。
- アジア全域の権利:Territory条項がそう定めていない限り、広げて読むべきではありません。
- 配信、放送、劇場、その他のメディア・プラットフォーム権:Licensed RightsやUsesでカバーされているかを確認する必要があります[
7]。
同じ注意は、「Korean rights」、「Korean-language rights」、「Asia excluding China and Japan」 といった表現にも当てはまります。これらはビジネス上の意図を示す言い方にはなり得ますが、正確なTerritory定義と、別建ての権利許諾条項の代わりにはなりません。
署名前のチェックリスト
IFTAを参照する契約で韓国が関係する場合、少なくとも次の点を別々に確認します。
- Territory:Republic of Korea (South Korea) と明記されているか[
5]。
- Schedule reference:適用されるIFTAのテリトリー表、またはEffective Date基準が明確か[
9]。
- Licensed Rights:メディア、プラットフォーム、利用方法が具体的に許諾されているか[
7]。
- Authorized Languages:韓国語その他、認められる言語が必要に応じて定められているか[
7][
10]。
- Exclusions:許諾者側に残る地域、権利、利用方法、ホールドバック、留保権が明記されているか[
7]。
まとめ
対象地域が韓国だけなら、「Korea」 という略称ではなく、「Republic of Korea (South Korea)」 と書くのが実務上安全です[5]。
IFTA型のドラフティングでは、Territoryは、権利、期間、言語、例外、利用方法、ホールドバック、留保権とは分けて考えます。より広い権利や地域を与えるなら、契約書にその内容を明示する必要があります[7]。
本稿は契約ドラフティング上の一般的な整理であり、法的助言ではありません。実際の契約では、署名前に、本文、組み込まれるIFTAスケジュール、そしてTerritory条項の正確な文言を専門家と確認してください。




