日常利用で特に注意すべきなのは、2つ目の「ユーザー入力」です。登録時の情報よりも、会話欄に貼り付けた業務メモ、顧客対応履歴、社内資料、コード断片、添付ファイルのほうが、はるかに機密性が高い場合があります。
具体的には、次のような情報を貼り付けたり、アップロードしたりしないでください。
これは「DeepSeekが必ず悪用する」という意味ではありません。いったん送信した時点で、そのデータは自分や自社の管理環境の外に出る、という現実を前提にするべきだということです。
DeepSeekの利用規約では、ユーザーがサービスに送信するすべての「Inputs」と、それに対応する「Outputs」について責任を負うとされています。また、Inputsを送信することで、ユーザーはそれを行うために必要な権利、ライセンス、許可を持っていると表明することになります 。
これは、業務利用では特に重要です。顧客情報、社内チケット、会社文書、非公開コード、第三者の個人情報を「要約してもらうだけ」「文章を直してもらうだけ」と思って貼り付けても、プライバシー、契約、社内規程、コンプライアンス上の問題になる可能性があります。
DeepSeekは、モデルの仕組みと学習方法に関する文書の中で、ユーザーが基本的なサービス情報を確認できること、モデル学習へのデータ利用を拒否できること、履歴データを削除できることなどを説明しています 。
ただし、そうした仕組みがあるとされていても、自分が実際に使っている画面で確認することが大切です。少しでも機微な情報を扱う前に、少なくとも次を見ておきましょう。
「一般的に削除やオプトアウトができる」と書かれていることと、「自分の利用環境で確実に設定できている」ことは同じではありません。
最も効果的なのは、送る情報を最小限にすることです。
氏名、メールアドレス、電話番号、住所、社内ID、会社名などは、顧客A、会社B、[メールアドレス] のような置き換え表現にします。AIに必要なのが文脈や文章構造だけなら、実名は不要なことが多いはずです。
契約書の一条項、メールの一段落、コードの一部だけで足りるなら、ファイル全体をアップロードしないでください。目的を達成できる最小の抜粋にするのが基本です。
コメント、変更履歴、メタデータ、内部パス、非表示シート、不要な個人情報が残っていないコピーを作ってから使います。元ファイルをそのまま上げるのは避けましょう。
試し書き、私的な実験、業務データ、機微情報を同じアカウントに混在させると、後から整理しにくくなります。検証用には架空データを使うなど、失敗しても影響が小さい形にしておくと安全です。
パスワード、トークン、APIキー、インフラのシークレットを貼り付けてしまった場合は、できるだけ早く変更、失効、ローテーションしてください。履歴削除機能がある場合は確認すべきですが、DeepSeekが履歴データの削除が可能だと説明しているとしても、それだけで漏えい対応が完了するわけではありません 。
対応は、送った情報の種類によって変わります。
公開されている資料だけを根拠に、「DeepSeek V4はあなたのデータを盗む」と断定することはできません。一方で、DeepSeekがサービスに関連する個人データを処理し得ること、またプロンプト、アップロードファイル、フィードバック、チャット履歴などが収集対象になり得ることは確認できます 。
だからこそ、DeepSeek V4は外部AIサービスとして扱うのが現実的です。秘密情報、個人情報、規制対象データ、会社の機密、取り消しの効かない認証情報は、最初から入力しない。これが一番確実な防御策です。
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