報道間には台数の食い違いもある。サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)は4月の台数を74,478台、前年同月比36%増と報じ、その内訳には中国本土での販売と海外輸出が含まれると説明した 。細かな台数は一致していないが、重要な点は同じだ。見出しの数字は、中国国内の小売販売だけを切り出したものではない。
テスラの上海工場、いわゆるギガ上海は、中国国内向けの生産拠点であると同時に、海外市場への輸出拠点でもある。このため、上海でつくられた車の台数が増えても、それが中国国内需要の増加をそのまま意味するとは限らない。
CnEVPostは、2026年3月のテスラ中国の卸売台数を85,670台と報じた。この数字には中国国内で売られた車両と、海外へ輸出された車両の両方が含まれる 。EVXLも、2026年1〜2月の中国製テスラ販売127,728台について、中国国内の購入者向けと上海からの輸出出荷を合わせた数字だと説明している
。
自動車統計でいう卸売台数や中国製販売台数は、工場の稼働状況や輸出の強さを見るには有用だ。しかし、中国国内の需要を判断するには、小売販売、国内納車、登録データの方がより直接的な手がかりになる。
4月以前の数字を見ると、この違いはさらに分かりやすい。Electrekは、2026年第1四半期のテスラ中国小売販売が前年比16%減、3月単月では24%減だったと報じた。一方で、より広い卸売ベースの数字は上海製車両の輸出を含むため、見え方が強くなる 。
1月は特に象徴的だった。Electrekによると、中国国内販売は18,485台で、前年同月比45%減。これに対し、上海工場の卸売台数は69,129台で、国内納車と輸出の両方を含んでいた 。CnEVPostも、1月の中国小売販売は2022年11月以来の低水準だった一方、上海工場からの輸出は過去2番目の高水準に達したと報じている
。
ここが今回の核心だ。上海でつくられ、海外に向けて出荷された車は、テスラの中国製販売台数を押し上げる。しかしそれは、中国の消費者がその車を買ったことを意味しない。
答えは「本物だが、範囲を限定して見るべき」だ。
中国製テスラの台数という意味では、回復の根拠はある。4月は前年同月比36%増と報じられた 。3月の卸売台数は85,670台だった
。1〜2月の中国製販売も127,728台で、前年同期を35%以上上回ったと報じられている
。
ただし、それを「中国国内需要が全面的に戻った」と言い切るには材料が足りない。4月の見出し数字は輸出込みであり 、4月は3月比では7.2%減だった
。さらに、第1四半期の小売販売は弱かったと報じられている
。
最も素直な読み方は、こうだ。上海工場の生産・輸出の勢いは改善している。一方で、中国の消費者需要が明確に回復したかどうかは、まだ慎重に見る必要がある。
テスラの中国事業を正しく読むには、次の指標を分けて確認したい。
これらがそろって上向くまでは、テスラの中国ストーリーは二つに分けて読むのが妥当だ。ひとつは、上海製・輸出込みの数字が強く見えているという話。もうひとつは、中国国内の需要回復については、まだ決定打に欠けるという話である。
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