上半期の記録的な勢いの継続。 7月は2026年全体で3番目に大きな月間調達額となり、6月比で10%増。すでに上半期(H1)で世界全体の投資額は5100億ドルに達し、2025年の年間総額(4400億ドル)を上回っていた。この上半期には、OpenAIの1220億ドル(シリーズD)やAnthropicの650億ドルといった巨額の調達ラウンドが含まれている。
2026年上半期だけで、OpenAI、Anthropic、xAIの3社は合計で約2370億ドルを調達。これは全世界のベンチャー投資額のおよそ半数に相当する。OpenAIとAnthropicの2社だけで、上半期の全世界調達額の43%を占めた。第2四半期(Q2)の世界最大のVC案件トップ3は、すべて米国のAI企業で、首位はAnthropicの650億ドルだった。7月単月では、AI関連の開示されたラウンドだけでも合計136億ドル、163件に上る。
AI関連企業は全世界のVC投資額の約80%を獲得し、わずか4社で全体の3分の2近くを調達した。米国のVC投資額は2026年上半期に4127億ドルに達し、すでに2025年の年間総額を超えている。米国で行われた10億ドル超のラウンドに投資された2900億ドルのうち、73%がメガラウンドに集中した。北米のスタートアップは上半期に3920億ドルを調達し、6ヵ月間の記録を更新。米国はこの期間の世界のVC投資の約81%を占めた。
10年ぶりの低調なディール件数。 投資総額の記録は広範な活動の活発化によるものではなく、ごく一部の巨大ラウンドによるものだ。ディール件数は大半の地域で減少を続けている。
シード投資の凋落。 総投資額が急増する一方で、シード投資(種まき段階の投資)は前年比27%減少した。これは、市場が「K字型」に二極化し、初期段階のスタートアップが資金調達に苦戦していることを示している。
中小VCファンドの締め出し。 2026年第1四半期(Q1)にコミットされたVC資金の73.1%は、わずか5つのファンドに集中した。新興運用会社(エマージングマネージャー)はほぼ資金を集められない状況にある。伝統的なVCファンドの資金調達額は全体で670億ドル(585ファンド)だったが、トップ10のファンドが全体の32.9%(220億ドル)を占め、そのシェアは2021年の13%から2.5倍に拡大した。残りの449億ドルを575ものファンドで分け合う構図だ。
IPO・M&Aは大型だが偏りが顕著。 VC支援企業のEXIT(IPOやM&A)額は2026年上半期に3500億ドルに急増し、前年の年間総額の約3倍に達した。しかし、これはSpaceXの株式公開など、ほぼAI関連の取引によるものである。AI以外のスタートアップにとってEXITの窓は依然として狭い。
構造的な二極化の進行。 アナリストは、ベンチャー業界が二層構造になりつつあると指摘する。片方の層は、ごく一部のエリートAI企業とトップクラスのVC運用会社で、収益のほとんどと機関投資家(LP)からの資金を独占。もう片方の層では、資金調達難が深刻化している。あるレポートは「ほとんどのファームは、この二極化の『負け組』側にいる」と厳しく指摘している。