8月28日、暗号資産デリバティブ取引所Deribitで、約8万1,700枚のビットコイン・オプションが満期を迎える。想定元本は約64.4億ドルで、満期時刻は08:00 UTC、つまり日本時間では同日17時だ。内訳はコール4万4,639枚、プット3万7,061枚で、プット・コール比率は0.83となっている。
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コールがプットを上回ることは強気のポジションを示唆するが、満期時にビットコインが特定の価格へ必ず引き寄せられるわけではない。短期的な値動きを左右するより重要な要素は、マーケットメイカーなどのディーラーがどのようにヘッジしているか、そしてそのガンマ・エクスポージャーが値動きを抑えるのか、逆に増幅するのかだ。
なぜ7万5,000ドルと8万ドルが注目されるのか
コールの建玉が最も集中していると報じられているのは、7万5,000ドルと8万ドルの権利行使価格だ。建玉の想定元本はそれぞれ約2億3,600万ドル、約1億5,700万ドルに上る。
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ビットコインが満期前にこのレンジの上限付近で推移している場合、両水準はヘッジ調整の目安になりやすい。
- 8万ドル付近: ディーラーがロングガンマの状態なら、上昇局面で売り、下落局面で買う取引が発生しやすい。短期的な変動が抑えられ、価格が8万ドル近辺に「固定」される展開も考えられる。
- 8万ドルを上抜けた場合: 顧客が保有するコールに対してディーラーがショートガンマになっていれば、価格上昇に合わせてヘッジ目的のビットコイン買いが必要になる。これが上昇をさらに加速させ、8万ドルを速いペースで通過する可能性がある。
- 7万5,000ドル付近: 8万ドルから反落した場合、より大きなコールの集中がある7万5,000ドルが、下げ止まりやヘッジ調整のゾーンとして意識されやすい。
- 7万5,000ドルを下回った場合: 近い水準のコール建玉が下落を抑えるという見方は弱まる。レバレッジをかけたロングポジションの解消が重なれば、売りが加速する可能性もある。
ただし、これは起こり得る市場メカニズムであって、決まったシナリオではない。公開されている建玉データから分かるのはオプションが集中している価格帯であり、ディーラーがネットでロングガンマなのかショートガンマなのかまでは判断できない。
「マックスペイン」は予言ではない
8月28日満期のマックスペインについては、約6万8,000ドルとする市場データがある一方、同時期の別の報道では7万ドル近辺とされている。
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10 データセットやポジションの更新によって推計値が変わり得ることを示す例だ。
マックスペインとは、満期時にオプション保有者へ支払われる本質的価値の合計が最小になる価格を計算したものだ。マーケットメイカーが、あるいは市場全体が、ビットコインをその水準へ押し下げる証拠ではない。
現在の7万ドル台後半から6万8,000ドルまで下落するには、現物市場とデリバティブ市場で大規模な売りが出たうえで、その動きを支えるだけの流動性とポジションが必要になる。マックスペインは満期時のペイオフ分布を示す参考値であり、単独で価格目標とみなすべきではない。
満期前にボラティリティが高まる可能性も
ビットコインの現物価格から5%以内に、想定元本ベースで5億ドル超のオプションが集中していると報じられている。
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12 そのため、価格がわずかに動くだけでもオプションのデルタが変化し、ディーラーがヘッジを調整する可能性がある。
- ロングガンマ環境: ディーラーが値動きと逆方向に取引し、上昇時に売り、下落時に買う。ボラティリティを抑え、価格を大きな権利行使価格の近くにとどめる働きが生じやすい。
- ショートガンマ環境: ディーラーが値動きと同じ方向に取引し、上昇時に買い、下落時に売る。8万ドルや7万5,000ドルの突破が、より急で自己強化的な動きになる可能性がある。
したがって、オプション満期そのものが急騰や暴落を保証するわけではない。関連する権利行使価格の周辺で、価格が注文フローに反応しやすくなるイベントと考えるのが適切だ。
08:00 UTC以降に何が起こり得るか
満期を迎えたポジションが消滅すると、ヘッジのバランスが短時間で変わることがある。ビットコインが7万5,000ドルまたは8万ドルを上回って推移し、ディーラーがショートコールのヘッジとしてビットコインを買っていた場合、満期後にそのヘッジを縮小する動きが出る可能性がある。これは満期後の売り圧力になったり、上昇を支えていた要因が一つ失われたりする展開につながる。
反対に、ディーラーがロングガンマのポジションをヘッジするため、現物や先物を売っていた場合は、ヘッジの巻き戻しが相場を支える可能性もある。公開されている全体の建玉だけでは、どちらのシナリオが優勢になるかは特定できない。
そのため、満期直後の最初の値動きよりも、ビットコインが7万5,000ドルまたは8万ドルのいずれかを継続的に上回る、あるいは下回れるかどうかの方が、次の方向を判断するうえで重要になる。
トレーダーが見る水準とシグナル
現時点での分かりやすい注目点は次の通りだ。
- 8万ドル: 上方向のボラティリティが高まる直接的なきっかけ。ショートガンマによる買いが表面化するかが焦点になる。
- 7万5,000ドル: 大きなコール建玉の集中を背景に、下落時の安定化が試される水準。
- 6万8,000〜7万ドルのマックスペイン圏: オプション分布を把握するための参考値であり、それだけで価格予想にはならない。
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満期後は、現物市場の売買高、無期限先物のポジション、建玉の変化、インプライド・ボラティリティが注目されるだろう。ビットコインがレンジを維持するなかでインプライド・ボラティリティが低下すれば、満期に伴うリスクが吸収された可能性がある。一方、7万5,000ドルまたは8万ドルを持続的に突破・割り込むのと同時にボラティリティが上昇すれば、短期モメンタムがより大きく変化した兆候となる。
結論は条件付きだ。今回の大型満期によって、7万5,000〜8万ドルのゾーンは短期的に通常以上の重要性を持つ。しかし、次の持続的な値動きを決めるのは、プット・コール比率やマックスペイン単独ではなく、ディーラーのヘッジ、レバレッジ、そして実際の需要がどう交錯するかだ。