標準的な2GB GDDR7モジュールの価格は1個あたり約20ドルであるのに対し、延期が報じられているRTX 50 Super向け3GB GDDR7モジュールは1個あたり約60~70ドルと、実に標準品の約3倍の価格となっている。汎用DRAM(DDR4 8Gb)は2026年5月に1チップあたり20ドルと過去最高値を記録、前月比25%上昇した。これはDRAMeXchangeが2016年6月に価格追跡を開始して以来の最高値である。2025年半ばに80ユーロだったDDR5 32GBキットは、2026年7月には約167ユーロで販売されている。
今回の3度目の値上げは、5月にRTX 5090/5090Dのみが対象となった前回と異なり、RTX 5070からRTX 5090に至る全GeForceラインナップに適用された。中国市場では7月25日から26日にかけてのわずか1日で、RTX 5070 Tiの価格が21.8%上昇し、現地市場での表示価格が約5,500人民元から6,700人民元以上に跳ね上がった。同じ期間にRTX 5070は16.2%上昇している。
TrendForceの調査によれば、VRAM 16GB以上を搭載するRTX 50シリーズで15~20%の値上げが確認されており、一部のカードではこの水準を大きく超えている。RTX 5090の実勢小売価格は4,300~5,000ドルに高騰。これはメーカー希望小売価格1,999ドルを約50%上回る水準だ。流通各社は「パニックモード」に陥っており、急激な価格上昇を受けて店頭在庫が消失しつつあると報じられている。
メモリコストの高騰はNVIDIAの次世代AIスーパーコンピューティングシステム「Vera Rubin NVL72」の設計にも直撃している。TrendForce、SemiAnalysis、GF Securitiesの各分析によれば、NVIDIAはVera Rubinの各Vera CPUに搭載するSOCAMM構成を、従来計画の192GBから96GBへと50%削減した。ラック1基あたりのSOCAMM DRAM容量は約55TBから約28TBに減少する。この決定は、LPDDR5Xの供給制約と、メモリコストがVR200システム全体のBOMの約29%に達したことに起因する。
これは需要の減少によるものではない。TrendForceは、NVIDIAの全体的なメモリ需要見通しは変わらないと指摘する。今回の削減は、供給契約に基づきNVIDIAに割り当てられたLPDRAM容量が不足しているため、やむを得ず行われた構成上の妥協点である。ラック1基あたりのコストは約10%低下するが、その代償としてCPUがアクセス可能なメモリ容量が半減する。これはAIワークロードにとって極めて重要なアーキテクチャ上のトレードオフとなる。
複数のアナリスト企業と業界幹部の見解は一貫して厳しい。Jefferies Equity Researchは、DRAM価格が2026年第3四半期にさらに40~50%、第4四半期に30~40%上昇すると予測している。TrendForceは、2026年第3四半期のDRAM契約価格が13~18%上昇するとの見通しを示す。LPDDR5Xは2026年第2四半期に89%、DDR4は最大51%の急騰を記録した。
2027年についてJefferiesは、メモリ価格が前年比でさらに40~45%上昇すると予測。主要アナリストは、高止まりするメモリ価格と供給逼迫が、新たな製造工場が稼働する2027~2028年まで続く可能性があると警告している。Computex 2026で講演したAMDのDavid McAfee上級副社長は、DDR5の価格が正常な水準に戻るには約2年かかり、回復時期は2028年頃になるとの見方を示した。
このメモリ価格高騰の波を免れるハードウェアベンダーは存在しない。中国市場では、AMDのRX 9060 XT 16GBが1日で28.8%、IntelのArc B570が20.6%上昇し、NVIDIAと同様の値上がり傾向を示した。AMDもGDDR6/GDDR7の供給制約に直面しており、Intelも独立したメモリ供給面での優位性を持たない。Neweggによれば、ゲーミングノートPCの価格も急上昇しており、32GB DDR5メモリやSSD、GPUのBOMコストが同時に高騰している。IntelとAMDはサーバーハードウェアの分野でも、DRAMとNANDフラッシュの価格高騰(2026年にそれぞれ125%、234%上昇)により、EPYCやXeon搭載システムのプラットフォームコストが押し上げられている。
3GB GDDR7モジュール(RTX 5070 Super、RTX 5070 Ti Super、RTX 5080 Super)を搭載する予定だったRTX 50 Superシリーズは、メモリチップの価格が2GBモジュールの約3倍に達したため、無期限で延期されている。コンシューマ向けGPU、CPUプラットフォーム、ゲーミングシステムの価格は、早くとも2027年後半まで高止まりする可能性が高く、新たなファブ容量が稼働する2028年頃まで実質的な緩和は期待できない。