欧州の送電網整備を、JPMorgan Chaseが大規模なインフラ金融の機会として捉えている。欧州連合(EU)では、2040年までに電力網へ約1.2兆ユーロの投資が必要との試算がある。ただし、これはJPMorganが全額を拠出すると表明したという意味ではない。同行が視野に入れているのは、米国での送電網金融の取り組みを広げ、欧州の関連案件を組成したり、参加したりすることだ。
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投資需要の大半は配電網に
Rabobankのまとめによると、2040年までの投資需要は配電網が約7,300億ユーロ、送電網が約4,720億ユーロ。合計は約1兆2,000億ユーロに上り、特に配電網の更新・増強が大きな割合を占める。
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こうした巨額の整備需要は、金融機関や機関投資家にとって案件の機会となる。Bloombergの報道では、JPMorganの幹部が欧州の送電網整備を大きな資金調達機会と位置づけ、適切な枠組みが整えば機関投資家の資金は迅速に動きうるとの見方を示した。
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ただし、投資家が資金を出すには、事業者がどのように収益を得るのか、費用をどう回収するのか、建設などのリスクを誰が負うのかが見通せなければならない。資金調達の仕組みは事業を後押しできても、安定した収益や明確なルールの代わりにはならない。
「グリーン金融」の対象を拡大
JPMorganは2026年10月、1兆ドルのグリーンファイナンス目標で対象となる活動に、送電網インフラと原子力発電を加えた。
18 これは目標の対象範囲を広げる変更であり、欧州の送電網整備に1兆ドルを別枠で投じる約束ではない。
欧州では政策面でも送電網の計画や整備を進める取り組みが続く。欧州委員会は2025年12月、許認可や国境を越えるエネルギーインフラなどに関する提案を含む「欧州送電網パッケージ」を発表した。2026年6月26日にはEU加盟国が同パッケージについて交渉方針で合意したが、これは最終的な法制化ではない。
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資金だけでは越えられない壁
プロジェクトは、許可を得て、用地を確保し、送電網に接続できて初めて、資金を実際のインフラに変えられる。Rabobankは許認可と用地取得を送電網整備の主な遅延要因として挙げている。欧州議会の調査も、許認可や系統接続の遅れが続いていると指摘する。
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費用負担も課題だ。送電網への投資は、ネットワーク料金や公的支援などを通じて賄う必要がある。民間資金を活用すれば調達手段を広げられる一方、費用そのものがなくなるわけでも、最終的な負担者が自動的に決まるわけでもない。
確認できること、できないこと
確認できるのは、JPMorganが欧州の送電網関連案件に関心を示していること、グリーンファイナンスの対象を広げたこと、そして投資需要が大きいことだ。
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一方、11月3日にJPMorganがGreen Finance Instituteへ助成金を出したという情報については、利用できる資料から条件や対象範囲を確認できない。同研究所が欧州の送電網向け金融の革新に取り組んでいることは確認できるが、それだけでJPMorganが資金提供者だとは判断できない。
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要点は、JPMorganが欧州の送電網整備をインフラ金融の市場機会と見ていることだ。民間資金を大規模に呼び込めるかどうかは、信頼できる収益モデル、実行可能な政策、そして計画から建設へ進めるプロジェクトが整うかにかかっている。