カンヌでは、AIを映画制作の実用的なツールとして活用する事例も増えている。
フランスの映画監督グザヴィエ・ジャンは、Netflix映画『Under Paris』の制作を振り返り、もし現在のAIツールが当時あれば、視覚効果(VFX)の制作期間を大幅に短縮でき、コストもほぼ半分に抑えられた可能性があると語った。
こうした例は、AIが映画制作の中でも特に
といったポストプロダクション工程を加速させるツールとして使われ始めていることを示している。
カンヌの会見やパネルでは、著名な映画人からもさまざまな意見が出ている。
俳優でありカンヌ審査員のデミ・ムーアは、AIを完全に拒絶する姿勢には現実性がないと指摘する。
両者の発言に共通しているのは、AIが映画監督や俳優そのものを置き換えるというより、創作の新しい道具になり得るという見方だ。
それでもAI映画を巡る議論はまだ終わっていない。
支持派は、生成AIが映画制作を民主化する可能性を指摘する。少人数のクリエイターでも、大きなスタジオに頼らず壮大な映像作品を作れるようになるかもしれない。
一方で懸念も多い。主な論点は次の通りだ。
カンヌ映画祭の現在のスタンスは、この議論のバランスを象徴している。
AIによる実験や制作ツールとしての利用は歓迎するが、映画の核心的な創作は人間が担うべきだという立場だ。
2026年のカンヌを見る限り、映画業界はAIを完全に拒否しているわけでも、全面的に受け入れているわけでもない。
むしろ現在の空気は、次のような中間点にあると言える。
AIは映画制作者を置き換える存在ではなく、制作を加速させる強力なツールになりつつある。
このバランスが今後も続くのか、それともAIが映画制作の中心に入ってくるのか――その答えは、これからの数年で明らかになりそうだ。
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