8月19日に6万5,000ドルを下回っていたビットコインは、その後8万2,000ドル超まで上昇した。この急騰は、保有者に上昇局面で利益を確定する動機を与えた。CryptoQuantのデータを引用した報道によると、8月19日以降のネット実現利益は累計で約11万BTCに上り、8月21日には約2万3,000BTCのピークを記録した。
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急速な値上がりと実現利益の増加が同時に起きる局面では、構図は明快だ。含み益を確定したい売り手が増える一方、その売りを受け止めるだけの新規買いが必要になる。現時点の材料からは、新たな強気相場が確定したというより、強気転換を試す初期段階とみるのが妥当だ。
実現利益が示すもの
実現利益とは、オンチェーン上で保有されているだけの含み益ではなく、コインの売却によって実際に確定した利益を指す。累計約11万BTCという数字は、今回の上昇によって保有者が売却を選びやすい状況になったことを示す。
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もっとも、利益確定そのものが直ちに弱気材料になるわけではない。新規の買い需要が大きく、かつ継続的なら、投資家の売りをこなしながら価格は上昇し得る。ただし、需要に偏りがあったり、持続的な現物買いではなくデリバティブ市場でのポジション解消に主導された上昇だったりすれば、急騰後の相場は不安定になりやすい。
CryptoQuantは9月3日の評価で、今回の上昇は新規需要よりもショートカバー(空売りの買い戻し)による面が大きいとした。Bull Scoreは70だったが、同社は「8万3,000ドルを超えるまでは、あくまでラリーにとどまる」との見方を示している。
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なぜ8万3,000ドルが焦点なのか
約8万3,000ドルは単なる節目やレジスタンスではない。CryptoQuantはこの水準を、ビットコインの365日移動平均線であり、強気相場入りを確認する境目と位置付けている。
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重要なのは一時的に上抜けることよりも、その水準を維持できるかだ。365日移動平均線を上回って週足で定着すれば、従来の抵抗帯を下値支持として転換できる可能性を示す。反対に、この水準で何度も跳ね返されれば、保有者の利益確定が続くなかで、もみ合いまたは調整に入りやすくなる。
CryptoQuantのBull Scoreは、ネットワーク活動、投資家の収益性、需要、流動性、モメンタムにまたがる10のオンチェーン・市場指標を、それぞれ強気か否かで評価して合成した0〜100の指数だ。同社の説明では、60〜80は強気相場の範囲、80〜100は「非常に強気」とされる。
59 ただし、これはあくまで一つの分析モデルであり、将来を保証するものではない。実際に同社自身も、移動平均線を上回る価格確認を条件としている。
ETFへの資金流入は需要の手掛かり。ただし偏りには注意
9月3日、ビットコインが8万2,000ドルを超える局面で、米国の現物ビットコインETFには合計7億3,087万ドルの純流入があった。BlackRockのiShares Bitcoin Trust(IBIT)には4億5,396万ドルが流入し、全体の約62%を占めた。
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これは、オンチェーン上で既存保有者が利益を確定するタイミングに、規制下のETFという経路からビットコインへの資金流入が生じていたことを示す。こうした需要は、売り圧力を吸収する助けになり得る。
一方で、資金流入の内訳も重要だ。IBITが全体の3分の2近くを占めたため、7億ドル超という見出しの数字だけで、すべてのファンドに幅広い買いが入ったと解釈することはできない。
9 また、1日だけの大幅流入は、持続的なトレンドの証明にはならない。強気シナリオがより説得力を持つのは、複数日にわたる純流入、底堅い現物買い、そして8万3,000ドル超での定着がそろう場合だ。
マクロ環境と9月の季節性も短期リスクに
9月入り時点では、金利見通しも市場の懸念材料だった。CoinDeskによると、市場では9月16日の米連邦準備制度理事会(FRB)会合で0.25ポイントの利上げが行われる確率が66%と織り込まれていた。また、2013年以降のビットコインは、9月が平均で約3%下落する最も成績の弱い月だったという。この季節性は背景情報であり、将来の値動きを予測するものではない。
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ビットコインのように利息を生まない、値動きの大きい資産では、金融引き締め観測が強まると、経済指標や株式など広範なリスク資産の動向に投資家心理が左右されやすくなる。これはETF需要やオンチェーン指標の改善を否定するものではないが、上昇が持続するための条件を厳しくする要因になる。
強気相場入りの判断を強める条件
複数のシグナルが一致すれば、強気相場入りの根拠は強まる。
- 約8万3,000ドルを上回る週足終値の定着:この水準は、365日移動平均線であり、CryptoQuantが確認ラインとする水準だ。
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- 単発ではないETFの純流入継続:数日以上にわたる資金流入が必要になる。
- ETF資金流入の裾野拡大:特定の大手ファンドへの依存度が下がること。
- 利益確定売りを吸収できる現物主導の需要:ショートカバー中心ではない買いの広がり。
現状の解釈は、強気・弱気のどちらかに決め打ちするよりも均衡的だ。8月の上昇は、機関投資家が利用しやすいETF経路からの有意な需要シグナルを生んだ一方、既存保有者には大規模な利益確定の誘因も与えた。ビットコインが約8万3,000ドルを支持線として確立できるか、そしてその間も需要が持続するか――この2点が、実現利益の累計やETFの1日分の流入額だけよりも説得力のある答えになる。
本記事は市場分析であり、投資助言ではありません。