AppleがSamsung Electronicsの値上げ提案を受け入れたとする報道は、通常のスマホ部品の値上がりというより、AI主導のメモリー逼迫を映す出来事とみるのが適切だ。報道によると、Samsungは2027年1〜3月期分として、DRAMを1Gb当たり約2ドル、NANDフラッシュを約0.33ドルでAppleに提示した。2026年7〜9月期の見積もりからは30〜40%の上昇に当たる。もっとも、Appleはこの合意を公表していないため、確定した開示契約ではなく、サプライチェーン情報に基づく報道として受け止める必要がある。
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なぜAIがスマホのメモリー価格に影響するのか
Samsung、SK hynix、Micronなどの主要メーカーは、AIインフラで使われる高帯域幅メモリー(HBM)やサーバー向けDRAMへ、先端プロセスの生産能力を重点配分している。TrendForceは、この配分が民生向けDRAMの供給を抑え、メモリー価格上昇局面の影響をスマートフォンを含む消費者向け電子機器へ広げていると指摘する。
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メモリーの生産量はすぐに増やせるわけではない。TrendForceによれば、2026年の供給各社の在庫は歴史的な低水準にあり、追加供給の中心はサーバー向けだという。メーカーが供給を大きく絞っているため、民生向けDRAMは特に価格上昇が大きくなるとみられている。
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この環境では、Appleほどの大口顧客が高い見積もりを早期に受け入れたとの報道自体が、その後の価格交渉における高い基準点になり得る。ただし、OppoやVivoを含む中国スマホメーカーについて、特定の契約条件や交渉結果を示す公的な根拠はない。
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2027年の焦点:DRAMは逼迫、NANDは同じとは限らない
DRAMの価格圧力が2027年まで続くとみる材料は多い。TrendForceは、HBMへの能力配分、AIサーバー需要、CPU用メモリーとHBMの調達拡大がDRAM供給を制約し、価格を押し上げると予想する。2027年に予定される新規能力も、実際の供給に目立った効果を出すまでには時間がかかるとしている。
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一方で、すべてのメモリー製品が同じ方向へ動くわけではない。TrendForceの2027年見通しでは、DRAMは引き続き逼迫するのに対し、NANDフラッシュは2027年後半に供給が緩むと予測される。新規能力の立ち上がりと、消費者向け電子機器需要の弱さが、NANDの価格に下押し圧力をかけるためだ。
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つまり、2027年1〜3月期のNAND見積もりが2026年7〜9月期比で大幅高とされても、それだけでNANDの不足や値上がりが長期に続くとは断定できない。状況は工場の立ち上げ、生産歩留まり、製品構成、AIインフラ投資のペースによって変わる。
iPhone 18 Proでメモリーの存在感が急拡大
TrendForceは、256GB版iPhone 18 Proのメモリーコストが、2026年7〜9月期に前年同期比で約400%高くなると試算した。この数字は端末全体の製造コストではなく、メモリー部分のコストを指す。
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同じ256GBモデルのBOM(部材表)全体は前年比約38%増と見積もられている。BOMに占めるメモリーの比率は、前年の約10%から2026年7〜9月期には約34%へ上がり、2027年前半には40%を超える見通しだ。
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Appleに残される選択肢は、利益率の一部を圧縮する、他部品でコストを削る、構成を見直す、販売価格を上げる、といったものになる。TrendForceは、Appleが市場シェアを守るためにコストの一部を吸収しながら、新型iPhoneの価格が約10〜20%上昇する可能性を予測している。ただし、これはAppleが発表した価格ではなく、あくまで市場調査会社の予測だ。
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日本を含む各地域のiPhone価格は、まだ確定していない
現時点の報道と調査は、部品コストの強い上昇圧力を裏付けるものだが、iPhone 18 Pro、iPhone Air、iPhone 17について、特定地域での公式販売価格の変更を示すものではない。また、仮に機種ごとの価格変更が起きたとしても、その原因をメモリーだけに帰すことはできない。
実際の地域別価格には、為替、税制、販売チャネル戦略、競合状況なども影響する。したがって、iPhone 18 Proの価格予測を、そのまま日本などの公式価格表と混同すべきではない。
小規模なAndroidブランドほど厳しくなる可能性
供給が限られる市場では、大量発注と長期的な数量コミットメントができるAppleのような企業は、比較的安定した調達を確保しやすい。大手顧客が早期に配分を押さえれば、購買力で劣るメーカーは高い見積もり、あるいは不利な供給条件に直面する可能性がある。
価格に敏感なブランドにとっては、利益率を下げる、端末価格を上げる、RAMやストレージの増量を抑える、販促を縮小する、製品計画を調整するといった難しい対応が考えられる。これは供給逼迫から導かれる事業上の可能性であり、特定メーカーがすでに実施したことを示すものではない。TrendForceも、メモリー価格の上昇がスマホメーカーの負担となり、生産計画の調整につながる可能性を指摘している。
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スマホはデータセンターとメモリーを奪い合う時代へ
本質的な変化はここにある。消費者向け端末は、もはやスマホ、PC、周辺機器どうしだけでメモリーを取り合っているのではない。より高い収益を見込みやすいHBMやサーバーDRAMを必要とするAIデータセンターとも、同じ製造能力を巡って競争している。
AI需要が強いままなら、供給確保や価格転嫁の余力があるプレミアム端末メーカーは相対的に有利になりやすい。対して、低価格を強みにするブランドは、価格とメモリー容量の両立が難しくなる可能性がある。消費者にとって目に見える変化は、端末価格の上昇、低価格帯でのストレージ増量の縮小、値引きの減少かもしれない。消費者需要が急に強まったからではなく、メモリーメーカーが最も高い収益を得られる市場がAIデータセンターへ移っているためだ。
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