今回のSCAでは、AWSを単なるホスティング基盤としてではなく、AVEVAの産業ソフトウェア全体を支えるクラウド基盤として位置付ける。さらに、共同開発、マーケット展開、顧客のクラウド移行支援などを含む包括的な枠組みも構築される。
この提携の中心にあるのが、AVEVAのクラウドプラットフォーム「CONNECT」だ。CONNECTは、産業データ、アプリケーション、AI分析、デジタルモデルを統合するためのオープンかつベンダー中立のクラウド環境として設計されている。
多くの製造・エネルギー企業では、次のような複数のシステムにデータが分散している。
・エンジニアリングシステム
・工場設備などのOT(Operational Technology)
・資産管理システム
・企業のERPなどITシステム
AWS上でCONNECTを拡張することで、企業は次のようなことが実現しやすくなる。
・運用データと企業データの統合
・クラウド上での産業アプリケーション運用
・AIによる分析や自動化
つまり、工場や設備から得られる膨大なデータを実際の運用改善につながるインテリジェンスへ変換することが狙いだ。
今回の協業では、いくつかのAWSサービスが重要な役割を担う。
Amazon Bedrockは、開発者がAPI経由で複数の基盤モデル(Foundation Models)を利用できる生成AIプラットフォームだ。マーケットプレイスでは100以上のモデルが提供されている。
CONNECTと組み合わせることで、例えば次のようなユースケースが想定されている。
・設備データを分析するAIアシスタント
・自然言語で操作できる分析ツール
・保守マニュアルや技術文書の検索
・異常検知と原因分析
これらは、生成AIと産業データを組み合わせることで実現される。
AWSの仮想サーバーサービスAmazon EC2は、AVEVAの産業ソフトウェアをクラウド上で実行するための計算基盤として利用される。
PI System、System Platform、MESなどの主要ソフトウェアは、Amazon VPCやEC2環境での動作が検証されており、企業はオンプレミスだけでなくクラウドやハイブリッド構成でOTシステムを運用できるようになる。
AWS Marketplaceは、企業がクラウドソフトウェアを簡単に購入・導入できるオンラインマーケットだ。
多くの製造・エネルギー企業では、長年のシステム導入の結果として**データサイロ(分断されたデータ環境)**が存在する。
例えば、工場の設備データ、エンジニアリングデータ、企業システムのデータがそれぞれ別の場所に保存されており、統合分析が難しいケースが多い。
AVEVAとAWSの取り組みは、この問題を次の要素の組み合わせで解決しようとしている。
・共有可能な産業データ基盤(CONNECT)
・スケーラブルなクラウドインフラ
・生成AIなどの高度分析
・クラウドマーケットプレイスによる迅速な導入
これにより、企業は分断されたデータをつなぎ、AIによる洞察や自動化をより容易に実現できる可能性がある。
今回の協業が示す大きな流れは、産業システムのクラウド化とAI活用の本格化だ。
製造、エネルギー、インフラといった分野では、長年オンプレミスで運用されてきたOTシステムが徐々にクラウドへ移行しつつある。AVEVAのソフトウェアをAWSと統合することで、企業は運用データからより速く洞察を得られるようになることが期待されている。
結果として、企業にとってのメリットは次のような実務的なものになる。
・カスタム統合作業の削減
・新しいアプリケーションの迅速な導入
・蓄積された産業データの活用
クラウド、産業ソフトウェア、AIの融合が進む中、AVEVAとAWSの提携は、産業システムがデータ駆動型のクラウド運用へ進化していく流れを象徴する動きといえる。
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