植物は成長時に大気中のCO₂を吸収しているため、その炭素を回収して地中に固定すれば、**大気から炭素を実質的に取り除く「ネガティブ排出」**と見なされる。
ただし、このような炭素除去契約だけで問題が解決するわけではない。
つまり、再生可能エネルギー調達や炭素除去投資を増やしても、AIの成長スピードのほうが速ければ総排出量は減らない可能性がある。
さらに問題になるのが、データセンター向け電力の供給源だ。
AIインフラを急速に拡張するため、テック企業は安定した電力を確保できるガス火力などの化石燃料電源を利用するケースもある。報道によれば、マイクロソフトはAIデータセンター向けに大規模なメタンガス発電容量を確保する契約を進めているとされる 。
もし新しいデータセンターの電力の多くが化石燃料に依存すれば、排出量の増加が炭素除去プロジェクトの拡大よりも速く進む可能性がある。長期的な化石燃料インフラを固定化するリスクも指摘されている。
この目標を達成するには、大きく3つの柱が必要になる。
BioCircとの契約は3つ目の柱を補強するものだ。しかし65万トンという規模は、同社の総排出量と比べれば限定的である。
AIインフラが急速に拡大する現在、マイクロソフトは「電力需要の増加」と「炭素除去の拡大」の競争に直面している。
BioCircとの契約は、マイクロソフトが炭素除去投資を続けていることを示す象徴的な取引だ。しかし同時に、AI時代の気候戦略の難しさも浮き彫りにしている。
AIデータセンターの拡大が続くなかで、ゼロカーボン電力の確保と大規模な炭素除去の両方をどれだけ速く拡大できるか——それが2030年カーボンネガティブ目標の成否を左右することになりそうだ。
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