優れたセンサーやAIが単体で動いても、それだけで部隊が使える装備にはならない。脅威の探知から情報の統合、判断、運用までをつなぎ、安全に使い続けられる形にする必要がある。レオナルドのサイモン・ハーウッド氏が用いる「プロトタイプ・ウォーフェア」は、試作品を急いで作ることよりも、新技術を実用的な防衛能力へ育てる過程に重心がある。同社は、中小の技術企業と協力し、自律技術やセンサーを組み合わせるシステム統合役を担うと説明している。
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大きな研究開発費は、実用化の証明ではない
レオナルドの2025年のグループ売上高は195億ユーロ、新規受注は238億ユーロ、調整後営業利益に当たるEBITAは17億5000万ユーロだった。研究開発費の総額は前年比20%増の30億ユーロ。ただし、この全額を同社が負担する先端的な試作研究の予算とみなすことはできない。
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英国法人の2025年の受注高は前年比36%増、売上高は15%増、営業利益は7%増だった。受注増には戦闘機「タイフーン」の大型案件が大きく寄与した一方、仕入先への支払い増で営業活動による現金創出額は減少している。
44 これらの数字が示すのは産業基盤の規模であり、個々の試作品が実戦配備に至ったという事実ではない。
ハーウッド氏は政府・産業界・学界にまたがる30年以上の経験を持ち、レオナルドの英国事業で戦略と研究開発・イノベーションの領域を担ってきた。
5 英議会では、技術と並んで、適切な資格と経験を備えた人材の重要性も強調している。
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小規模企業の技術を、システムとして試す
出発点は「何の技術が新しいか」ではなく、「部隊が何をできるようになるか」だ。ハーウッド氏は議会で、レオナルドがセンサーやデータ収集システムを作り、得られた情報を統合して意思決定に役立てると説明した。
23 難しいのは、個別の部品の性能を示す段階から、全体として安定して機能する段階への移行である。
そのための一つの枠組みが、英国で進める中小企業向けの協業プログラムだ。単発の技術紹介ではなく、長期的な提携を目指す。
33 最初に発表された提携先のFaculty AIとは、AIを活用したセンシングや電子戦などで専門性を組み合わせる方針だ。
30 ただし、提携先すべてに複数年の資金提供や機密情報へのアクセス、試験施設、投資家紹介が用意されるとまでは、公表資料から確認できない。
試験は、統合した技術から課題を見つけ、改良する機会になる。ハーウッド氏は英国の中小企業が主導する自律技術の試験に言及し、別の発信では「Sovereign Hunter」でFaculty、VOLANDER、Applied AGIと複数ドローンを使った実証を行ったとしている。
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36 ただし、これらは主に関係者の説明であり、実戦での有効性や調達状況、大規模運用時の性能を独立に裏付けるものではない。
提携の出口は防衛分野だけではない
レオナルドとPloughshareの提携は、逆方向の技術移転を狙う。防衛分野で生まれたレオナルド英国法人の知的財産から、民生分野でも使えるものを見いだし、事業化を進める計画だ。
1 ライセンス供与や新会社の設立は考えられる道筋だが、成立した案件数や収益を示す根拠は、ここで参照できる資料にはない。
提携重視は、買収をやめるという意味でもない。レオナルドの最高経営責任者は、ウクライナの新拠点を通じ、同国の軍事技術企業との提携、投資、買収の可能性を探る考えを示した。
17 技術を取り込む方法が何であれ、顧客の需要に合うシステムへ統合し、供給できるかが問われる。
「早く試せた」と「使い続けられる」は違う
ウクライナでの戦時下の技術開発は、高価で数が限られる装備と、比較的低コストの自律型機器をどう組み合わせるかという問いを浮かび上がらせる。一方が他方を置き換えると決めつけることはできない。価格だけでなく、生存性、損耗後の補充、物流、効果の持続を見なければならない。ウクライナの新興企業についても、レオナルドの関心が戦後の需要や事業の存続を保証するわけではない。
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装備の備蓄は当面の必要に応え、余力のある生産設備は将来の補充を支える。どちらにも費用がかかり、危機の前から供給能力を維持するには、それを買い支える顧客が必要だ。量子技術、フォトニクス、バイオ技術などの研究成果も、継続発注と量産できる供給網がなければ実用の規模に広がりにくい。
レオナルドは「Sovereign Hunter」が技術賞を受けたとしている。しかし受賞歴や企業による安全性の説明は、配備後の成果を独立に検証した証拠とは別物だ。
38 防衛分野には公開できない性能情報もある。それでも公に評価できる基準は明確だ。実証の速さだけでなく、反復試験を経て、安全性と再現性が確認され、顧客が購入・運用・維持できる能力になったかどうかである。