8月後半のビットコイン上昇を受け、オンチェーン分析企業CryptoQuantは、相場が弱気局面から「初期の強気局面」へ移る可能性を指摘した。根拠は単なる出来高の増加ではない。価格が大きく上昇する局面で取引活動が拡大した点にある。
ただし、同社の後続データは現物需要の弱まりを示し、上昇にはショートカバーも大きく寄与したとされた。したがって、この動きは強気相場入りの確定ではなく、未確認のブレイクアウト試行として捉えるのが妥当だ。
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なぜ出来高の急増が注目されたのか
8月21日、暗号資産市場の現物取引高は約750億ドルとなり、2月以来の高水準に達した。無期限先物の取引高も約3,360億ドルで、3月以降で最も高かった。ビットコインは8月に約**24%**上昇し、2024年11月以来で最大の月間上昇率となった。
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CryptoQuantが重視したのは、価格と取引活動の組み合わせだ。下落相場で出来高が膨らむ場合、投げ売りや強制清算といった「降伏」の売買を反映していることがある。今回は価格が急反発するなかで出来高が増え、主に買いによる動きと説明された。これは、市場参加者が価格上昇とともに戻りつつある状況と整合的だ。
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もっとも、この組み合わせは相場局面転換の可能性を示す材料であり、それ自体が転換を証明するものではない。
現物と先物に広がった参加がプラス材料に
取引は特定の取引所だけに集中していなかった。8月21日時点の現物取引高は、Binanceが194億ドル、Coinbaseが80億ドル、Gateが51億ドルだった。無期限先物ではBinanceが1,240億ドルで首位、OKXが460億ドル、MEXCが300億ドルと続いた。
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月間データでも裾野の広がりが確認された。主要取引所の現物取引高は8月に19%増の5,104億ドルとなり、2026年で最大の月間増加率を記録した。デリバティブ取引高も15.9%増えた。
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ラリーが単一取引所や先物取引だけに偏る場合、一時的なポジション調整として片付けやすい。現物・先物の双方と複数の主要取引所に参加が広がったことは、今回の上昇の重みを増す要因だ。とはいえ、初動の勢いが薄れた後も買い手が残るかどうかは、なお別の問題である。
最大の弱点:ショートカバーは新規需要と同義ではない
CryptoQuantが慎重だった理由も重要だ。ショートカバーとは、ビットコインの下落を見込んで売りポジションを取った投資家が、損失拡大を避けるために買い戻して決済することをいう。清算が連鎖する局面では上昇を急加速させ得るが、長期保有を目的とする新規の買いとは限らない。
上昇後の報道では、今回の動きはショートカバーの影響が大きく、現物需要は弱まっているとされた。CryptoQuant関連の後続データでは、現物需要はマイナス14万5,000BTC、先物需要はプラス圏を維持したものの弱含んだとされた。
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このため、無期限先物の大きな取引高は慎重に読む必要がある。無期限先物はレバレッジを使えるデリバティブであり、取引高の増加が現物市場でのビットコイン購入ではなく、投機的なポジションの組み替えを反映している可能性がある。持続的な強気局面と評価するには、レバレッジ主導の取引が落ち着いた後も現物需要が改善し、プラス圏を維持することが望ましい。
強気相場の「確認」とされる価格水準
CryptoQuantは、ビットコインが約8万1,700ドルを日足終値で上回ることを、新たな強気局面に入ったかを判断する最初の基準として示した。この水準は365日移動平均線付近にある。その上には、メトカーフ評価バンド付近の約8万3,600ドル、トレーダー実現価格バンド付近の約8万8,700ドルが抵抗帯として報じられた。
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重要なのは、これらを厳密な価格予想として見ることではなく、需要が売り圧力を吸収できるかを測るテストとして見ることだ。長期保有者による売りが7万7,100〜8万200ドルの範囲で目立ったとの報道もあり、近い抵抗帯を持続的に突破できるかが焦点となる。
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強気シナリオの説得力を高めるには、8万1,700ドルを一時的に上抜けるだけでは不十分である。同水準の上で支持を固め、現物需要を大きく悪化させずに、8万3,600ドルと8万8,700ドルの帯を越える必要がある。
機関投資家の需要を見るならETF資金フロー
米国上場の現物ビットコインETFへの資金フローは、機関投資家が上昇を支えているかを比較的見えやすく示す指標だ。9月初旬のある取引日には、これらのETFで7億3,090万ドルの純流入が記録され、1月14日以来の大きさとなった。
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しかし、1日の大型流入だけでは結論を出せない。その後の報道では、4営業日連続の純流出となり、週合計では約4億6,270万ドルの流出が示された。
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見るべきなのは見出しを飾る単日の数字ではなく、流入の持続性である。継続的な純流入は、ETFを通じた買い手が時間をかけて売りを吸収していることを示唆する。一方、現物需要の弱さと並行して流出が続くなら、上昇がなおデリバティブのポジション要因に依存しているとの見方を補強する。
FRBと金利環境も結果を左右し得る
ビットコインは不確実なマクロ環境のなかで取引されていた。9月16日の米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定を前に、市場参加者はETF需要と米国債利回りの上昇、そしてタカ派的な政策運営の可能性を比較していた。
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インフレが市場予想を上回る、利回りが上昇する、あるいはFRBが予想以上に引き締め的な姿勢を示すといった展開は、リスク資産への圧力となり、ビットコインが抵抗帯を維持する難度を高める。逆に、不利なマクロニュースにも価格が耐えられれば、需要がショートスクイーズへの依存を弱めているとの見方は強まる。
初期強気相場の見方を強める条件
CryptoQuantの8月後半のデータは前向きではあるが、条件付きの評価を支持するものだった。強気相場入りの判断を補強する材料は、次の通りである。
- 現物需要が持続的にプラスとなること。無期限先物中心の反発にとどまらないこと。
- ETFへの継続的な純流入。機関投資家の買いが一過性でないこと。
- 8万1,700ドル超での日足終値の定着。その後、8万3,600ドル、8万8,700ドルを上回ること。
- インフレ指標やFRBを巡るリスク局面での価格の底堅さ。金融環境が引き締まる場面でも買いが売りを吸収できること。
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結論
8月の急上昇は、意味のある初期サイクルのシグナルだった。ビットコインが約24%上昇するのと同時に、主要市場で取引高が拡大したためである。投げ売りに伴う出来高急増よりも健全な背景といえる。
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ただし、CryptoQuant自身の警告は結論を慎重なものにする。ショートカバーの寄与が大きく、現物需要が弱まり、ETF資金フローもまちまちだったことから、データが示すのは初期の強気局面へ移行する可能性であって、持続的な強気相場の確認ではない。確認には、実需に基づく現物買いと、示された抵抗水準の上で価格を維持できるかが必要となる。
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