TSMC(台湾積体電路製造)は、台湾以外での半導体生産を拡大してきたが、その海外拠点がようやく財務面で成果を見せ始めている。最新の四半期では、米国アリゾナ工場の利益が大きく伸び、日本・熊本の合弁工場は初めて黒字化した。一方、ドイツの新工場はまだ建設段階で赤字が続いている。
背景にあるのは、AI向け半導体需要の急拡大と工場稼働率の上昇だ。
熊本県にあるTSMCの合弁会社「Japan Advanced Semiconductor Manufacturing(JASM)」は、2026年第1四半期に9億5100万台湾ドル(約3000万ドル)の利益を計上した。これは前四半期の13.9億台湾ドルの損失、さらに前年の32.5億台湾ドルの損失からの大きな改善となる。
最大の要因は、第1工場の稼働率上昇だ。同工場は2024年末に量産を開始したばかりで、半導体製造の特徴である巨額の固定費をより多くのウエハー生産で分散できるようになり、収益性が改善した。
熊本工場が扱うのは以下のような成熟プロセスである。
これらは主に自動車や産業機器向け半導体に使われており、需要が安定していることが稼働率を押し上げた。
さらにTSMCは熊本で第2工場の建設を進めている。当初よりもより先端の3nmプロセスを視野に入れる方向に調整しており、AI関連需要の強さが計画に影響しているとみられる。
米国アリゾナ州フェニックス近郊のTSMC工場は、今回の四半期で最も大きな業績改善を示した。
2026年第1四半期の利益は188億1000万台湾ドルで、
特に注目されるのは、この四半期の利益だけで2025年通年の利益161億4000万台湾ドルを上回った点だ。
背景には、米国の大手テクノロジー企業を中心とするAI向け半導体需要の急増がある。アリゾナ工場では4nmプロセスのチップを生産しており、高性能コンピューティングやAI処理向けの製品に広く使われている。
需要増により先端ラインの稼働率が高まり、収益が大きく伸びた形だ。
ヨーロッパでは、TSMCが**ドイツ・ドレスデンで建設中の合弁会社「European Semiconductor Manufacturing Co.(ESMC)」**を展開している。
この事業はTSMCが70%を出資しているが、工場はまだ建設段階のため、四半期で2億7800万台湾ドルの損失となった。
半導体工場は完成まで巨額の投資が先行するため、量産開始前に赤字となるのは一般的だ。
今回の結果は、TSMCが進める**「台湾以外での生産拡大」戦略の進行段階の違い**を示している。
米国では、アリゾナ拠点を中心に巨大な投資計画が進む。計画には次のような施設が含まれる。
日本でもTSMCは熊本拠点を重要拠点と位置づけており、同社はJASMの77%を保有。第2工場の建設により、日本での生産能力も拡大する。
興味深い点として、TSMCはこの四半期に米国、日本、ドイツから計5億500万台湾ドルの補助金を受け取ったが、これは前年同期比で98.56%減だった。
つまり、今回の海外拠点の業績改善は、政府補助よりも需要増と稼働率の上昇によるものと考えられる。
TSMCの海外拠点を整理すると、現在は次のような段階にある。
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TSMCアリゾナ工場は2026年Q1に188.1億台湾ドルの利益を計上し、2025年通年の利益を単四半期で上回った。[1][2]
TSMCアリゾナ工場は2026年Q1に188.1億台湾ドルの利益を計上し、2025年通年の利益を単四半期で上回った。[1][2] 熊本のJASMは稼働率の上昇により9.51億台湾ドルの利益を記録し、量産開始後初めて黒字化した。[2]
ドイツ・ドレスデンの工場は建設段階のため赤字が続いており、TSMCの海外拠点は成長段階がそれぞれ異なる。[2]
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