今回の資金調達ラウンドは、ロンドン拠点のベンチャーキャピタル Accel が主導しました。参加投資家には Bek Ventures、Kaya VC、Inovo VC、Tenacity Capital などが含まれます。
さらに、エンジェル投資家の顔ぶれも豪華です。例えば次のような人物が参加しています。
SlackやTeamsの中で動くAIという製品特性を考えると、これらの投資家は戦略的にも象徴的な存在と言えます。
ViktorはFryderyk WiatrowskiとPeter Albertの2人によって2023年に創業されました。両者はMetaの元エンジニアです。
同社はポーランドのワルシャワとドイツのミュンヘンを拠点に開発を進めており、チームにはMeta、Google、Amazon、Teslaなど出身のエンジニアが参加しています。
創業チームが目指したのは「AIを別アプリとして使う」のではなく、人がすでに働いている場所にAIを置くというコンセプトでした。
Viktorの最大の特徴は、SlackやMicrosoft Teamsの中で直接動くAIエージェントである点です。
通常のAIツールのように別アプリを開く必要はありません。社員は普段のチャットと同じようにAIに指示を出します。
このAIは例えば次のようなことができます。
つまり、単なる「質問に答えるAI」ではなく、チームの作業を実際に進めるAIメンバーとして設計されています。
Viktorのもう一つの特徴は、広い統合エコシステムです。
同社によるとAIは3000以上の業務ツールと連携でき、企業がすでに使っているソフトウェアに直接アクセスできます。
これによりAIは次のような動作が可能になります。
報道では、この仕組みは**自律的な複数ステップのワークフローを実行できる「エージェント型AI」**として説明されています。
さらにViktorは「組織メモリー(organizational memory)」という概念も強調しています。AIが会話や業務ツールの情報を蓄積し、会社の文脈を理解することで、過去のプロジェクトや社内知識を踏まえてサポートできるという仕組みです。
投資家が注目した最大の理由は、公開直後の成長スピードです。
報告されている主な指標は次の通りです。
SaaSスタートアップとしても非常に速い成長で、企業向けAIエージェントへの需要の強さを示す例とされています。
今回の7500万ドルは主に次の領域に投資される見込みです。
特に大企業向けには、ガバナンスやセキュリティ、業務ツールとの統合強化が重要になるため、その開発を進める計画です。
Viktorの資金調達は、エンタープライズAIの新しい潮流も象徴しています。
これまでのAIツールは、文章生成や検索など**個人の作業を補助する「コパイロット型」**が主流でした。しかし最近は、チーム全体の業務を実行するAIエージェントを作るスタートアップが増えています。
SlackやMicrosoft Teamsのようなコミュニケーション基盤にAIを直接組み込むことで、AIを企業の業務レイヤーそのものにしようという試みです。
Viktorの初期成長は、この「AI同僚」モデルが企業ソフトウェアの大きなカテゴリーになる可能性を、投資家が本気で見始めていることを示しています。