原油相場が急伸したのは、市場が二つのリスクを同時に織り込んだからです。湾岸の海上輸送を巡る攻撃リスクに加え、ホルムズ海峡を迂回して輸出できるサウジアラビアの主要パイプラインが停止したことで、輸送上の混乱が実際の供給減に転じる懸念が強まりました。
週明けの取引開始時、北海ブレント原油先物は3.62ドル(3.46%)高の1バレル108.23ドル、米国産WTI先物は3.15ドル(3.15%)高の103.20ドルとなりました。市場が警戒したのは、地域で相次いだ攻撃と通行ルートの制約が、一時的な緊張にとどまらず、現物の供給障害へ長期化する可能性です。
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新たな攻撃が上乗せした「即時のリスクプレミアム」
週末の事案は、サウジのインフラと湾岸航行の双方に不確実性を加えました。サウジ国営メディアは、フーシ派による攻撃でジャーザーン州の住宅やモスクが損傷したと報道。フーシ派は、隣接州にあるサウジの軍事基地を攻撃したと述べました。
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ホルムズ海峡では、英国海軍の海事貿易活動調整機関(UKMTO)が、飛翔体が船舶に命中して火災が起き、乗組員が退避したと報告しました。イランは、自国沖のイラン商船で1人が死亡、4人が負傷したと発表しています。
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原油トレーダーにとって重要なのは、個々の攻撃だけではありません。ホルムズ海峡を通らずに輸出するための主要代替ルートであるサウジの東西パイプラインが、すでに停止している局面で起きたことです。海峡を迂回する輸出ルートと、海峡内を航行する船舶の双方で、混乱のリスクが高まった形です。
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東西パイプラインの停止が重い理由
サウジアラビアは東西パイプラインを使い、紅海沿岸のヤンブー港へ日量約400万バレルを輸送していました。これは世界の原油供給量のおよそ4%に相当します。このルートの戦略的な価値は、ホルムズ海峡を避けて輸出できる点にあります。
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同パイプラインはドローン攻撃後に停止され、サウジ当局は再開時期を公表していません。業界関係者はロイターに対し、新たなパイプライン供給がなければ、ヤンブーの貯蔵原油で輸出を維持できるのは約5〜7日だと述べました。
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これは、世界供給の4%が直ちに市場から失われたことを意味するわけではありません。ヤンブーの在庫を使い切り、代替の輸送手段でも補えないほど停止が長引いた場合に、供給減となり得る量です。関係筋による修復期間の見通しは数日から5〜6週間まで幅があり、停止がどれほど続くかが値付けの焦点になっています。
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紅海の要衝、バブ・エル・マンデブ海峡にも警戒
紅海の入口に位置するバブ・エル・マンデブ海峡も、エネルギー輸送にとって重要な海上交通の要衝です。ペリム島周辺でフーシ派が進展したとの報道は、紅海航路とサウジの輸出ルートの安全への懸念を強めました。
ただし、提供された報道だけでは、ペリム島の支配によって世界供給の別の4〜5%が危険にさらされるという具体的な数値までは裏付けられていません。より確かな数字は、停止前に東西パイプラインで輸送されていた日量約400万バレル、世界供給の約4%です。
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原油がすでに100ドル超だった背景
今回の上昇の前週、ブレント原油は約8%上昇し、7月以来初めて100ドルを上回っていました。広域化した紛争とホルムズ海峡周辺の制約により、供給見通しが引き締まったためです。
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最新の攻撃は、需給逼迫を和らげ得た二つの「逃げ道」を同時に弱めました。
- サウジの紅海経由輸出:東西パイプラインの停止により、ホルムズ海峡を迂回する原油輸送能力が制限された。
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- 航行を巡る外交的な取り決め:ホルムズ海峡の通航を協議する会合が、予定通り進まなくなった。
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原油市場は、公式の供給統計に輸出減が表れる前から、予想される不足を価格に織り込むことがあります。今回は、パイプラインがヤンブーの在庫が尽きるまでに復旧しなければ、短期的な輸送ショックが実際の輸出減へ変わるという懸念が価格を押し上げました。
オマーン協議の延期が示すもの
オマーンで予定されていたイランと湾岸諸国の会合は、ホルムズ海峡の航行に関する取り決めを話し合う場でした。オマーンは「合意形成のため」として延期を発表し、イランは米国側の要求が満たされるまで海峡を再開しないとの立場を示しました。
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会合延期そのものが原油輸送を止めたわけではありません。しかし、船舶の通航を改善したり、危険度を下げたりする短期の実務的合意がまとまるとの期待を後退させました。地域の主要な原油輸送ルート周辺で攻撃が起きる中、外交による早期の打開策が見えにくくなったことが、原油の地政学リスクプレミアムを支えています。
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今後の原油価格を左右するポイント
最大の焦点は、サウジが東西パイプラインを速やかに復旧できるか、そして外交交渉がホルムズ海峡の航行に関する実効性のある取り決めを生み出せるかです。
パイプラインの停止がヤンブーの在庫を使い切るほど長引けば、サウジの輸出量が削減され、ロイターが取材した買い手やトレーダーによれば、世界供給の約4%が危険にさらされる可能性があります。
17 航行に関する実務合意が得られず、攻撃も続けば、原油には大きな地政学リスクプレミアムが残る可能性があります。
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IGの市場アナリスト、トニー・サイカモア氏は、オマーン協議が成果を出せず、パイプラインの復旧も遅れる場合、原油は3月近辺の高値である119.48ドルに向かう可能性があると指摘しました。これは市場シナリオであって確実な予測ではありません。早期復旧、実効性のある航行取り決め、あるいは攻撃の沈静化があれば、供給リスクプレミアムは縮小し得ます。
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