つまり、テンセントの既存事業は依然として高い収益力を維持しています。ただし、投資家は今や「AIがどれだけ新しい成長を生むか」に注目しています。
売上が予想を下回った最大の要因は、ゲーム事業の成長ペースの鈍化でした。
中国国内ゲーム売上は前年比約6%増でしたが、前年の成長率と比べると大幅に減速しています。
さらに、2026年は春節(旧正月)の時期が遅れた影響で、ゲーム課金の一部が別の四半期にずれ込んだ可能性があると指摘されています。
ただし、他の事業がこの減速を部分的に補いました。
特に広告は大きく伸びました。WeChat(微信)上でAIによる広告推薦アルゴリズムを活用したことが、広告効率を押し上げたとされています。
株主総会でポニー・マーCEOは、AI開発について非常に率直なコメントをしました。
彼は、テンセントが当初はAIで十分な位置にいると考えていたものの、後になって問題があることに気づいたと説明しています。
その状況を彼はこう表現しました。
「1年前は船に乗ったと思っていたが、あとでその船が漏れていることに気づいた。」
現在は改善が始まっているとしながらも、
「今は船の上に立っているが、まだ座ることはできない」
と語り、回復は始まったが競争はまだ厳しいという認識を示しました。
テンセントのAI戦略は、単一の目玉AIサービスを作るというより、巨大な自社エコシステム全体にAIを埋め込むことにあります。
同社は独自の大規模言語モデル「Hunyuan(混元)」や、仕事の自動化を支援するAIエージェントで「重要な初期進展」があったと説明しています。
戦略は主に2つです。
AIはすでに次のような領域に組み込まれています。
これにより、ユーザー体験や広告収益効率を改善する狙いです。
同時にテンセントは、AIモデルとAIエージェントをベースにした新製品も開発しています。
これらは
などの作業を支援するツールとして、WeChat、企業向けソフト、クラウドと深く統合される予定です。
巨大なユーザーベースを持つテンセントにとって、これはAIサービスの普及において大きな強みになり得ます。
ただしAI戦略には大きなコストが伴います。
大規模モデルの訓練、データセンター、半導体、AI製品開発などへの投資が増え、短期的には利益率に圧力がかかる可能性があります。
それでもテンセントは、アリババなど中国のテック企業と同様に、AIをインターネット産業の次の巨大プラットフォームと見ており、投資を続ける姿勢を示しています。
今回の決算が示したのは、テンセントが次の2つの現実の間にあるということです。
つまりテンセントの本当の試練は、AIを単なる技術投資で終わらせず、実際の巨大ビジネスへと成長させられるかどうかにあります。
ポニー・マーの言葉どおり、同社はまだ「船に座れる段階」ではありません。ですが、AI競争での再出発はすでに始まっています。