ただし、この利益の多くは**株式売却による現金利益ではなく、評価益(いわゆる「含み益」)**だ。つまり、ソフトバンクがOpenAI株を売却したわけではなく、投資先の推定価値が上昇したことで会計上の利益が計上された形である。
この仕組みは、AI企業のように評価額が急上昇する分野では利益を大きく見せる可能性がある一方、逆に評価額が下がれば同じ仕組みで損失が計上されることも意味する。
ここ数年のソフトバンクは、ビジョン・ファンドの損失などで大きく揺れ動いてきた。しかし最近の決算では、AI関連投資の上昇を背景に複数四半期連続で黒字を維持している。
その中核がOpenAIだ。公開資料によると、ソフトバンクは累計約346億ドルを投資し、約11%の持ち分を保有しているとされる。
この規模の投資により、ソフトバンク株はしばしば「AIブームへの間接的な上場投資手段」として見られるようになっている。つまり、OpenAIが未上場であるため、投資家はソフトバンクを通じてその成長に間接的に参加している構図だ。
一方、AI戦略の加速には資金が必要だ。アナリストは、ソフトバンクがOpenAI関連投資やAIインフラ構築(データセンター計画など)を進める中で、資金調達や借り入れが増えている点に注目している。
こうしたレバレッジの拡大は、AI投資が順調な間は問題になりにくい。しかし、市場環境が変われば財務面のリスクとして表面化する可能性がある。
今回の決算は、ベンチャー投資の典型的な特徴も示している。つまり、少数の大型投資が全体の収益を大きく左右するという点だ。
OpenAIの評価額が上昇すれば、ソフトバンクの利益や純資産価値は急伸する。しかし、AI関連企業への投資熱が冷え込めば、同じ仕組みで損失が拡大する可能性もある。
市場ではすでに、ソフトバンクの業績が単一企業の評価額に大きく左右される集中リスクについて指摘する声が出ている。
ソフトバンクの約120億ドルの四半期利益は、同社のAI戦略が現在の市場環境では極めて強力に機能していることを示している。OpenAIという1社の価値上昇が、数十億ドル規模の利益を生み出した形だ。
ただし同時に、ソフトバンクの業績はこれまで以上にOpenAIという未上場企業の評価額に強く連動する構造になりつつある。
今後の利益の行方は、OpenAIの成長とAI投資ブームがどこまで続くかに大きく左右されることになりそうだ。