複数の関係者による米国側の評価に基づく報道によれば、2026年5月14~15日に北京で行われた米中首脳会談の中で、習主席はトランプ大統領に対し、プーチン氏がウクライナ侵攻の決断を将来「後悔する可能性がある」と示唆したとされる。
もし事実であれば、中国の最高指導者がロシアの侵攻判断についてここまで踏み込んだ評価を示すのは極めて珍しい。中国政府はこれまで、侵攻を明確に非難することは避け、停戦・交渉の必要性や主権尊重を強調する表現にとどめてきたからだ。
中国とロシアは「戦略的パートナーシップ」と呼ばれる関係を維持しているため、たとえ非公開の場であっても戦争を誤りと示唆するような発言は外交的に敏感な意味を持つ。
北京での会談は、世界最大級の二つの経済大国である米国と中国の関係安定化を目的に行われた。議論は非常に幅広い分野に及んだ。
主な議題は次の通りと報じられている。
双方とも「関係の安定化」を強調したが、発表内容には温度差もあった。米国側は経済協力やフェンタニル原料問題を強調し、中国側は関係の安定や広範な地政学問題への対応を重視する形だった。
この報道について、中国外務省は強く否定した。
報道内容について同省の報道官は「事実とは全く関係がない」と述べ、メディアの報道は不正確だと主張した。
この否定が出されたタイミングは非常に敏感だった。ちょうどその時、プーチン大統領が習主席との首脳会談のために北京に到着しようとしていたため、中国としてはロシア批判と受け取られかねない印象を避ける必要があった。
今回の騒動は、中国がウクライナ戦争をめぐって置かれている難しい立場を改めて示した。
まず、中国はロシアとの戦略関係を維持している。エネルギー、安全保障、そして西側の影響力への対抗という点で両国の協力は重要であり、公然とモスクワを批判することは関係を損なう恐れがある。
一方で、中国は米国との関係悪化をこれ以上深めたくない。今回のような首脳会談は、競争関係にある両国が衝突を避けるための重要な対話の場でもある。
さらに中国は、自らを「中立的な国際仲介者」として位置付け、ウクライナ戦争の和平交渉を促す立場を取ろうとしている。しかし、もし指導部が私的にロシアの戦争判断に疑問を示していると受け取られれば、その中立イメージは揺らぎかねない。
重要なのは、この発言が公式記録や公開された会談記録から確認されたものではない点だ。報道は、会談内容に詳しい関係者による米国側の評価に基づくものとされている。
中国政府は全面的に否定しているため、実際にどのような発言があったのかは依然として明確ではない。
それでも今回の一件は、中国がロシアとの関係、米国との競争、そして国際社会での中立的立場という三つの要素の間で、いかに繊細な外交バランスを取ろうとしているかを象徴する出来事となった。