実は同社は当初、企業向けの出張管理SaaSとしてスタートしています。しかしCOVID‑19のパンデミックにより企業の出張需要がほぼ停止。そこで創業者は方向転換を決断しました。
彼ら自身がリモートファーストの企業を運営していた経験から、分散チームの給与管理や契約処理が非常に複雑であることを実感していました。特に新興市場では、法制度や支払い手段の違いが大きな障壁になります。
この経験をもとに、「世界中の人材を簡単に雇用できるインフラ」を目指してRemotePassが開発されました。
現在ではスタートアップから大企業まで、国際的に人材を採用する企業が同プラットフォームを利用しています。
企業が海外の人材を採用する場合、通常は次のような問題に直面します。
例えば、たった1人の従業員を雇うために現地法人を設立するのはコストも時間も大きく、スタートアップにとっては現実的ではありません。
RemotePassはこの問題に対し、企業が現地法人を持たなくても海外人材を雇用できる仕組みを提供しています。オンボーディング、給与処理、契約書管理、法令対応などをプラットフォーム上で処理できるようにしています。
RemotePassは、グローバルチーム管理に必要な機能を1つのシステムに統合しています。
EOR(Employer of Record)は、RemotePassが企業に代わって現地の雇用主となる仕組みです。
企業が現地法人を持たない国でも、RemotePassの法人を通じてフルタイム従業員を雇用できます。給与処理、税務、福利厚生、労働法の遵守などはRemotePassが管理します。
RemotePassは150カ国以上のフリーランスや業務委託人材の管理にも対応しています。
これにより、国によって異なる契約ルールを統一的に管理でき、誤った雇用分類(misclassification)のリスクも軽減できます。
RemotePassでは、世界中の従業員や契約者の給与を一つのプラットフォームで処理できます。
多通貨での支払い管理や給与計算などを一元化することで、分散チームの給与管理をシンプルにします。
国際雇用では、労働契約書や税務書類、各国の規制対応など多くの事務処理が必要です。
RemotePassは次のようなプロセスを自動化しています。
これにより、人事部門の管理負担と法的リスクを減らすことができます。
RemotePassはHRツールだけでなく、リモートワーカー向けの金融サービスや福利厚生も提供する「スーパーアプリ型」体験を目指しているとされています。
比較的新しい機能として、RemotePassはSpendCardsという企業向けカードを導入しました。
これは分散チームの経費管理のためのカードで、次のような機能があります。
給与管理やHRワークフローと統合されているため、企業は国際的な支出をより可視化できるようになります。
RemotePassはスタートアップから大企業まで幅広い組織に利用されています。
報道では、以下の企業が顧客として挙げられています。
これらの企業は、複数の地域に分散した人材を雇用するためのインフラとしてRemotePassを利用しています。
RemotePassはこれまでに1,000万ドル以上の資金を調達しています。
2024年には550万ドルのシリーズAラウンドを発表しました。主導したのはイスタンブールのベンチャーキャピタル212 VCです。
このラウンドには次の投資家も参加しています。
それ以前には、BECO Capital、Wamda Capital、Plug & Play、Flat6Labsなどからも投資を受けています。
なお、公開されているこのデータセットの情報では、1,740万ドルのシリーズBラウンドに関する確認可能な情報は含まれていません。
RemotePassのようなサービスが急速に増えている背景には、企業の採用戦略の変化があります。
リモートワークの普及により、企業は国内だけでなく世界中から人材を採用するようになりました。
しかし国際採用には、法律、税務、給与処理、契約管理など多くの複雑な要素が伴います。
そのため現在は、
といった機能を統合した「グローバル雇用インフラ」が重要な役割を担うようになっています。
RemotePassは、こうした機能を1つのプラットフォームにまとめることで、企業が世界中の人材を採用しやすくすることを目指しています。