トランプ氏がイランのインフラ攻撃の可能性にも言及するなど緊張が高まる中、ブレント原油は1バレル111ドル超まで上昇したと報じられた。
市場の反応はシンプルだ。ホルムズ海峡の輸送が妨げられれば世界の供給が急激に逼迫する可能性がある。実際に停止しなくても、そのリスクだけで投機的な買いが入りやすい。
通常、地政学的危機が起きると投資家は安全資産とされる国債を買う。しかし今回は逆の動きが見られ、債券価格は下落し利回りは上昇した。
理由はインフレ懸念だ。原油価格の上昇は輸送コストや製造コストを押し上げ、最終的には消費者物価にも影響する。市場では、エネルギー価格の上昇が続けば中央銀行が利下げを遅らせたり、逆に利上げ圧力が強まる可能性が意識された。
そのため今回は「安全資産需要」よりも「インフレショック」が債券市場を動かした形になった。
アジアの株式市場は一方向ではなく、まちまちの動きとなった。
投資家は、トランプ氏がイランに対しホルムズ海峡を再開するよう最後通告を出し、従わなければ発電所や橋などのインフラを攻撃する可能性に言及したことを材料にリスクを再評価していた。
アジア諸国の多くはエネルギー輸入への依存度が高く、原油高は企業収益、インフレ見通し、経済成長のいずれにも影響する。そのため地域の株式市場は慎重な反応になりやすい。
米国市場でも不安定な動きが広がった。トランプ氏の発言を受け、米株先物は下落し、投資家は中東情勢の拡大リスクを織り込み始めた。
ただし、相場は一貫して弱いわけではない。トランプ氏が「紛争は近く終わる可能性がある」と示唆した場面では、株価が反発し原油が急落するなど、相場はニュースに大きく左右されている。
実際、ある取引ではMSCIアジア太平洋(日本除く)指数が約2.6%上昇するなど、楽観的なコメントだけでセンチメントが急回復する場面もあった。
原油ショックの影響を受けやすい国の一つがインドだ。インドは原油輸入への依存度が高いため、価格上昇は国内経済に複数の影響を及ぼす。
主な影響は次の通り。
今回の警告に直接結びつくセンセックスやニフティの具体的な変動幅は報道で明確に示されていないが、原油価格の長期的な上昇がインド株や通貨にとって逆風になりやすい構造は広く指摘されている。
今回の市場反応の中心にあるのがホルムズ海峡だ。ペルシャ湾とオマーン湾を結ぶこの海峡は、世界のエネルギー供給にとって最大級のチョークポイント(戦略的要衝)とされる。
仮に緊張がさらに高まれば、次のような連鎖が起きる可能性がある。
現時点で市場は、米国とイランの対立がどこまで拡大するのかを見極めようとしている。エネルギー供給に影響するリスクが残る限り、原油、債券、株式は地政学ニュース一つで大きく動く状態が続きそうだ。