マルコス大統領は、台湾有事に対する各国の立場について日本とフィリピンの違いにも触れている。
彼は、日本の場合は関与するかどうかが「戦略的な選択」に近い可能性がある一方、フィリピンは地理条件や自国民の存在により状況に引き込まれる可能性が高いと説明した。
つまり東京にとっては政策判断の問題になり得るが、マニラにとってはより直接的で現実的な危機管理の問題だという位置づけだ。
フィリピン政府にとって最大の懸念の一つは、台湾にいる自国民の安全だ。
台湾には多くのフィリピン人労働者がおり、家事労働や製造業などで働く移民労働者コミュニティが形成されている。マルコス大統領は、危機が起きた場合には彼らの保護が最優先事項になると示唆している。
そのため、以下のような対応が想定される。
こうした人道的義務がある以上、フィリピンが完全に距離を置くことは難しいという論理だ。
一方でマルコス大統領は、こうした発言が台湾の国家承認を意味するものではないと明確にしている。
フィリピンは引き続き「一つの中国」政策を支持し、中国政府を中国の唯一の合法政府として認める立場を維持していると説明した。
この点を強調することで、台湾海峡情勢への懸念と中国との外交関係のバランスを取ろうとしている。
マルコス氏の発言は、台湾海峡をめぐる緊張が高まる中で出てきたものだ。もし台湾海峡で軍事衝突が起きれば、東アジア全体に影響が広がる可能性があると各国で警戒感が強まっている。
同時に、フィリピンは日本などとの安全保障協力を強化している。
2026年には日本とフィリピンが**ACSA(物品役務相互提供協定)**を締結し、両国軍が共同活動時に燃料や物資などを相互に提供できる枠組みを整えた。
マルコス大統領の発言が示しているのは、フィリピンが置かれた難しい立場だ。
こうした要素が重なり、たとえ政治的に中立を望んだとしても、台湾海峡で危機が起きれば完全に傍観者でいることは難しいというのがマニラの現実的な認識だ。