さらに、熱源はGPUだけではありません。AIサーバーでは以下のようなコンポーネントも大きな発熱源になります。
一部のチップだけを冷やす方式では、他の部品にホットスポットが生まれやすいという問題があります。Iceotopeはこの点に着目しています。
Iceotopeの技術は、サーバー内部の空気を使う代わりに、密閉されたシャーシ内で誘電体(絶縁)液体を循環させるというものです。
この液体は電気を通さないため、電子部品の周囲を直接流して熱を吸収できます。
冷却対象は次の通りです。
同社はこの仕組みを**「Direct‑to‑Everything(すべてを直接冷却)」**と呼び、サーバー全体を均一に冷却する設計を特徴としています。
この方式では大型ファンやホットアイル/コールドアイル設計、冷却塔など、従来のデータセンターに必要だった大規模空冷設備への依存を減らせる可能性があります。
今回のシリーズB資金は、主に以下の領域に投資されます。
目的は、Iceotopeの冷却アーキテクチャを採用したサーバーやシステムをより広い市場に商用展開することです。
データセンターでは、電力消費の大きな割合を冷却が占めます。液体は空気よりも熱を効率的に運べるため、冷却効率を大きく改善できる可能性があります。
Iceotopeによると同社の技術は、条件によっては従来の空冷と比べて最大約40%のエネルギー削減が可能とされています。
さらに同社は、バイオベース化学メーカーOleonと協力し、再生可能由来の誘電体液体を使った持続可能な冷却技術の開発にも取り組んでいます。
AIインフラの電力需要が急増する中、こうした省エネ技術はデータセンター運営企業にとって重要な要素になっています。
Iceotopeは液体冷却技術に関して、200件以上の取得済み・出願中特許を保有しています。
特許は主に次の領域をカバーしています。
インフラ技術市場では、このような知的財産は以下の点で重要です。
特に、コールドプレート方式や完全浸漬型冷却など他の液体冷却方式との差別化にもつながります。
Iceotopeは2005年に英国で創業し、長年にわたりサーバー向け液体冷却技術を研究・開発してきました。
データセンター業界では、新しい冷却技術の採用に慎重な企業が多く、長期的な実証や信頼性の実績が重要です。
そのため、AIインフラの密度がさらに高まるにつれ、成熟した設計と長年の経験を持つ企業が有利になる可能性があります。
AIの拡大に伴い、コンピューティングの課題は単にチップ性能だけではなくなっています。
大規模AIクラスターを安定して稼働させるには、熱をどう管理するかが重要な設計要素になっています。
IceotopeのシリーズB調達は、投資家が**「次世代データセンターにおいて冷却は核心インフラになる」**と見ていることを示しています。AIの計算密度がさらに高まれば、こうした液体冷却技術はデータセンターの標準装備になる可能性があります。