8月のPMI(購買担当者景気指数)は、世界経済の拡大がより広がりを持ち始めたことを示した。サービス業が引き続き最大の牽引役となる一方、製造業と設備投資も持ち直した。J.P.モルガン世界総合PMIは前月の52.6から53.5へ上昇し、27カ月ぶりの高水準となった。新規受注と雇用の伸びも加速した。
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もっとも、この数字は慎重に読む必要がある。PMIは企業の景況感を迅速に捉えるアンケート指標であり、GDPの公表値そのものではない。しばしば示される世界GDPの年率**約3.0%**という見方は、PMIとGDPの過去の関係から推計したものである。
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直近の押し上げ役はサービス業
世界的な加速の中心にあったのはサービス業だった。米国では、8月の速報総合PMIが56.0へ上昇した。サービス活動の力強い拡大が、製造業の伸び鈍化を補った。
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多くの主要国では、サービス業が経済活動に占める割合が大きい。金融、IT、企業向けサービスなどの新規案件が増えれば、総合PMIを比較的速やかに押し上げる。家計需要が底堅ければ、消費者向けサービスも支えとなる。世界PMIでも8月は新規受注と雇用の改善が確認された。
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設備投資が製造業に第二の追い風
今回の改善は、サービス業だけの話ではない。世界の製造業PMIは7月の49.7から8月は50.9に上昇し、拡大・縮小の分かれ目である50を再び上回った。
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S&Pグローバルは第3四半期初めの時点で、設備投資の急増を報告しており、当時のPMIは世界経済の年率2.6%程度の成長と整合的だった。
45 8月には、AI関連投資と設備投資の継続が製造業の一段の加速を支えたと報じられている。
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AIとの関係は、次のように捉えるのが妥当だ。データセンターやAIインフラの建設・運用には、IT機器だけでなく幅広い資本財が必要になる。そのため投資は、製造業の生産や、テクノロジー・金融に関連するサービス活動の双方を支え得る。ただし、提供されたデータはこの投資経路を裏付けるにとどまり、AIだけが世界PMI上昇の全てを引き起こしたとは示していない。
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欧州は改善したが、一様な好況ではない
ユーロ圏の8月速報総合PMIは52.1で、7月の52.0から小幅に上昇し、9カ月ぶりの高水準となった。製造業の生産指数は53.4と比較的強かった一方、サービス業の活動指数は51.7にとどまった。
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この差は、世界全体の状況とも重なる。工業活動は改善したが、拡大の強さは国や業種で一様ではない。欧州のAIインフラ投資も地域差がある。データセンター市場ではスペインとイタリアが相対的に有力な成長地域とされる一方、フランスはデジタル基盤が強い反面、企業のデジタル化では遅れが指摘されている。
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高いPMIでも通年見通しが確定するわけではない
PMIの上昇は短期の成長見通しを改善させるが、下振れリスクを消すものではない。S&Pグローバルは7月と8月に予測を引き上げた後も、2026年の世界実質GDP成長率を**2.4%**と見込む。これは2月時点の紛争前予測を0.5ポイント下回る。
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企業の先行き判断も重要な留意点だ。S&Pグローバルは、8月の世界PMIに関する以前の発表で、向こう1年への期待がコロナ禍以降で最低水準に近づいたと指摘した。特に米国の政策変更や関税への懸念が背景にある。
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実務的には、8月の加速は「幅広い景況感の改善主導」というより、投資とサービス主導の拡大とみるのが適切だろう。持続的な成長となるには、設備需要、製造業、サービス業の改善が続くことに加え、貿易・地政学を巡る不確実性が和らぐ必要がある。PMIが強かったのは前向きな材料だが、1カ月の数値だけで年間の成長軌道が変わったと判断するのは早い。
PMIから分かること、分からないこと
この調査は、短期の経済活動が底堅いという見方を支える。一方で、PMIだけからインフレ、長期金利、国債のタームプレミアムが恒常的に上昇すると結論づけることはできない。また、米国債が次の景気後退局面でどの程度のヘッジになるかも、PMI単独では判断できない。
それらはインフレ動向、財政政策、エネルギー価格、中央銀行の判断、将来のショックの性質に左右されるためだ。8月のデータから読み取れる範囲を絞れば、世界の需要は弱成長シナリオが示唆するより粘り強く、その多くをサービスと資本支出が支えた、という点にある。残る焦点は、その粘り強さが政策不確実性と低調な企業心理を乗り越えて続くかどうかだ。
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