買いが強まったタイミングも見逃せない。ビットコインが6万ドル付近まで下落し、高値水準を回復できずにいた局面で蓄積が始まったことは、大口投資家が下落をポジション構築の機会と見た可能性を示す。ただし、ウォレット残高の変化だけから、購入者の意図を断定することはできない。
企業の保有戦略という面では、H100の事例もある。報道によると、スウェーデンのヘルステック企業H100は買収取引を通じて2,455.7BTCを取得し、保有量を3,506BTC超へと3倍以上に増やした。
もっとも、H100の購入分を43,000BTCや46,420BTCの数字にそのまま加えるべきではない。企業の保有分とオンチェーン分析上のウォレット群は、定義が異なる場合があり、重複してカウントされる可能性もあるためだ。
ビットコインの回復は、テクニカル面ではまだ完成していない。価格は6万5,000ドル付近で何度も上値を抑えられており、分析では6万5,500〜6万6,000ドルが近い抵抗帯として意識されている。このゾーンを明確に上抜け、そこで価格が定着すれば、売り圧力を需要が上回り始めたことを示す材料になる。
米国上場の現物ビットコインETFの資金フローも、慎重な見方を促している。ETFには8月3〜5日の3日間で約6億2,600万ドルが流入し、8月7日までの週については8億5,000万ドル超の流入が報告された。しかし、その翌週には約3億9,000万ドルの純流出に転じた。
この流れからは、機関投資家の需要が存在することは分かるが、方向性が一貫しているとは言いにくい。ETFへの流入はBTCを抵抗帯の上へ押し上げる一方、流出に転じれば、主要な買い支えが短期間で弱まる可能性がある。
Coinbase Premium Indexはマイナス圏にあり、米国の投資家が多く利用するCoinbaseで、海外市場より高い価格を継続的に提示する買いが強まっていないことを示している。クジラが蓄積を続けていても、米国の現物買いが弱いという組み合わせは十分に起こり得る。
買い注文の厚みが薄い市場では、この状況は脆弱になりやすい。大口が買い続ければ売りに出るコインを吸収し、価格を支えることはできる。しかし、幅広い現物需要が後に続かなければ、上昇は抵抗帯で跳ね返されたり、レバレッジ取引をきっかけに急反落したりする可能性が残る。
そのため、先物価格が6万4,495ドル付近まで上昇することは、現物主導の上昇ほど決定的なシグナルではない。先物はレバレッジやショートポジションの買い戻しでも上昇するからだ。より信頼性の高い回復には、現物買いの継続、米国需要の改善、そしてETFへの安定した資金流入が望まれる。
クジラの蓄積は、供給環境が改善していることを示す。ただし、ブレイクアウトが確認されたわけではない。今後、特に注目すべき指標は次の通りだ。
現時点で最も妥当な見方は、ビットコインのクジラが数カ月続いた売りを止め、現在の価格帯で保有を再構築している一方、市場全体の見方はまだ分かれているというものだ。大口がこの水準で供給を吸収していることは、中期的には強気の材料になり得る。
ただし、6万6,000ドルに向けた、あるいはそれを超える持続的なブレイクアウトが始まったと結論づけるには、米国の現物需要とETFの買いが追いつく必要がある。