ビットコインは10月30日、6週間ぶりの安値となる76,469ドルを記録した。Binanceで大規模なセキュリティ侵害が報じられるなか、オンチェーンデータでは、最近購入した保有者が損失を抱えた状態で取引所に送る動きも目立った。ただし、コインが取引所に移動したことは、売却が成立した証拠ではない。これらの指標だけで売りが一巡した、あるいは相場が底を打ったとは判断できない。
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短期保有者のデータが示すこと
Glassnodeは、ビットコインを155日未満保有する主体を「短期保有者」と定義している。10月26日時点では、短期保有者が持つビットコインのうち含み益がある割合は約70%。1カ月前のほぼ100%から低下しており、最近買った人たちの利益の余裕が縮小したことを示している。ただし、これは「取引所に送られたコインのうち、利益が出ているものの割合」とは別の指標だ。
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同じ下落局面について、損失を伴う取引所送金の増加を伝える報道もあった。ただし、それぞれ集計方法や対象期間が異なる。
- CryptoQuantの短期保有者による取引所送金について、7日平均の純損益指標は「マイナス3,022」と報告された。10月24日の「プラス21,182」から低下したもので、8月18日以来初めてのマイナス、また72日ぶりに損失を伴う送金が優勢になったとされる。
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- Axel Adler Jr.の24時間の流入残高指標を扱った別の報道では、10月26日にマイナス23,100 BTC、27日にマイナス18,600 BTCを記録した。1週間前はプラス10,400 BTCだった。
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- 10月31日の報道によると、ビットコインが約76,000ドルを試した際、短期保有者は24時間で36,600 BTC超を損失状態で取引所に送金した。Binanceに限った短期保有者の7日間累計流入量は45,400 BTCとなり、10月の最高水準に達した。
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これらの数値は、同一の時系列データとしてつなげて読むことはできない。指標も対象期間も異なるためだ。また、提示された報道には、利益が出ている取引所流入の割合や使用済みアウトプット利益率(SOPR)について、比較可能な日次データがそろっていない。そのため、ここで一貫した推移を再構成することはできない。
取引所への送金は、売却成立を意味しない
オンチェーンで確認できるのは、コインが取引所に移動したことだ。実際に売買が成立したかどうかまでは分からない。またGlassnodeは、同じ主体が自分のウォレット間でコインを移しただけでも、標準的な実現利益・実現損失の指標に影響する場合があると指摘している。
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この違いは、損失を伴う流入を読むうえで重要だ。保有者が含み損を抱えていることや、コインが取引に使える状態になった可能性は示せても、実際に売ったこと、送金の理由、あるいは投げ売りが起きたことまでは証明しない。
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アナリストの見方と、そこから分かる範囲
報道では複数のストレス指標が示されているが、共通して確認された底入れシグナルはない。
- Glassnode: 短期保有者の含み益割合が約70%まで下がったことについて、上昇を見込む買い手にとって、より入りやすい水準になった可能性があるとの見方が報じられた。ただし、利益の余裕が小さくなったという解釈であり、売り圧力が解消した証拠ではない。
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- Darkfost: 10月29日時点で、短期保有者の平均取得価格を約76,500ドルと推定し、保有者全体では平均して含み益が残っていると述べた。同水準は注視すべき価格帯として挙げられた。その後、76,000ドル近辺で損失を伴う送金が増えたことは、圧力の高まりを示すもので、76,500ドルが支持線として機能した証明ではない。
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- Axel Adler Jr.: 10月26~27日の流入残高は、利益を伴う流入より損失を伴う流入が多かったことを示している。一方、提供された報道からは、Adlerが特定の回復水準や底入れの判定条件を示したとは確認できない。
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総合すると、ビットコインの下落に伴って最近の保有者の負担は強まった。ただし、そのストレスが和らぎつつあるのか、持続的な回復が始まったのかは、これらのデータだけでは分からない。
Binanceの問題は不透明感を加えたが、下落の原因を特定しない
Reutersの報道によると、Binanceはセキュリティ侵害の影響を63億ドルと推定し、提携先とともに約30億ドルを特定したとしている。資産が特定されたり凍結されたりしたことは、その資金がすでに回収され、補償に利用できる状態にあることと同じではない。
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別の報道では、Binanceが損失を補填する意向を示し、そのための資金を確保したうえで、準備金証明の報告書を公表する計画だと伝えられた。これらは報じられた方針や計画であり、補償が完了したことの確認でも、セキュリティ侵害がビットコイン下落を引き起こした証明でもない。
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侵害の報道とビットコインの下落は同時期に起きたが、利用可能な情報からは、他の市場要因と切り分けて侵害の影響を特定できない。確実に言えるのは、ビットコインが76,000ドル近辺を試すなかで短期保有者による損失を伴う取引所送金が増えたこと、そして送金データもセキュリティ侵害も、それだけでは相場の底を確認できないことだ。
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