この変化は、会社全体の売上が急成長したからではない。むしろ、AI事業が急拡大する一方で広告事業の成長が鈍化したことにより、収益のバランスがAI側へ大きく傾いた結果だ。
AI事業の成長を最も強く牽引したのが、企業向けのAIクラウドインフラだった。これは企業がAIモデルを開発・運用するための計算資源やクラウド環境を提供するサービスだ。
2026年Q1には次の成果が報告されている。
背景にあるのは、企業によるAI導入の加速だ。生成AIやデータ分析、自動化などの活用が広がるにつれ、AIモデルの学習や推論に必要なGPUやクラウド計算能力への需要が急増している。百度は自社のクラウドプラットフォームでこれらの需要を取り込んでいる。
インフラだけがAI収益を支えているわけではない。百度はAIモデルやプラットフォームを基盤にしたAIアプリケーションも提供しており、企業やユーザー向けのサービスとして収益化している。
こうしたアプリケーションは、業務自動化、データ分析、インテリジェントサービスなどを実現するツールとして百度のエコシステム内に組み込まれている。AIクラウドと組み合わせることで、百度はAIスタックの複数層から収益を得る構造を構築している。
百度は依然として中国有数のオンライン広告プラットフォームだが、広告市場の成長は近年鈍化している。
そこで同社は広告にもAIを導入し、次のような機能を強化している。
これらのAIマーケティングサービスは、従来型の検索広告をより高度なAI広告へと進化させる取り組みの一部とされる。
AI事業が急成長しているにもかかわらず、百度の四半期総売上は約321億元で、報道によっては前年より約2%減少している。
理由はシンプルだ。
つまり、新しいAI事業の成長があっても、従来の広告収益の弱さが短期的には全体売上を押し下げる構造になっている。
それでも2026年Q1は象徴的な四半期だった。初めて、百度の成長ストーリーを牽引したのが検索広告ではなくAIインフラとAIサービスになったからだ。
企業によるAI導入がさらに進めば、AIクラウドやAIプラットフォームは今後の業績を左右する中核事業になる可能性が高い。
言い換えれば、百度は今、検索広告企業から**「AIプラットフォーム企業」へと本格的に変わりつつある**段階にあると言える。