一方、日本では物価上昇も金融政策の判断材料になっている。GDPデフレーターは前年同期比2.6%上昇し、エネルギー価格の上昇も続いている。物価上昇が根強ければ、日銀による追加利上げの可能性は市場の視野に残る。ただし、個人消費と設備投資の弱さは、日銀に慎重な判断を促す材料となる。
ただし、ここには重要な時系列上の注意点がある。上記5指数の数値は8月14日付であり、日本のGDP発表と8月17日の取引中の反応と同じ時点の終値ではない。したがって、これらは提供された市場の概況として見るべきで、5市場の8月17日の終値を直接比較するデータではない。確認できる範囲では、日本のGDP発表を受けてアジア市場全体が一斉に売られたとは言えない。
日本にとって原油高は、家計と企業の双方に効く。ガソリンや電気、輸送などのコストが上がれば、家計の実質的な購買力が低下し、企業では投入コストが膨らむ。個人消費が伸び悩んだ背景には、こうしたコスト上昇もあるとみられる。
これは金融政策にとって難しい組み合わせだ。物価上昇が続けば日銀は引き締めを意識せざるを得ない一方、エネルギー高は、政策当局が強化を期待する国内需要を冷やしかねない。
今後の焦点は、米国と日本の金融政策がどの方向に動くかだ。米国ではFOMC議事要旨や、8月27〜29日に開催されるジャクソンホール会議で、FRBが利上げを見送るとの市場期待が裏付けられるかが注目される。
今回のGDPが示したのは、単純な「予想外れ」ではない。日本経済はなお拡大しているものの、成長を支えたのは外需であり、消費と投資には勢いがない。円高は日本の景気への信認を反映したというより、米国の利上げ観測後退と、日本の物価・日銀政策への思惑を映した動きだった。